海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

宮城県 名取市

宮城県名取市では、平成28年に名取市消防団活性化計画を策定しました。その中では、消防団の「必要性の低下」が、今の消防団員の減少に繋がっていると分析しています。そして消防団には「新たな任務、役割」があると訴えています。

 

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平成28年度名取市消防団活性化計画
http://www.fdn119.jp/application/pdf/dankasseika28.pdf

1 消防団を取り巻く諸問題点と課題 ~消防団の「必要性の低下」


 消防団活動の活性化が唱えられるようになって久しいが全国的に消防団員数は年々減少し、後継者がいない状況が続いており、消防団員の高齢化が一段と進んでいる。
 本市においても欠員数は徐々に増加しており、後継者不足が深刻である。また、団員のサラリーマン化が進み、日中の参集率は極めて低く、さらに新興団地も拡大して消防団の空白地帯も増えている。
 さて、これらの原因を探ってみると、端的に言えば「必要性の低下」すなわち消火活動の中心は常備消防に移り、消防団の消火活動が少なくなったことが指摘される。必要性の低下というと誤解を招くが、消防団活動をしようという基本的な動機が無くなってきたという意味である。
 消防団は歴史的にいえば、消防本部、消防署が発足する前から主に消火活動を担ってきた。当時は火災件数も多く、被害も大きかったためその任務はきわめて重要な社会的位置をもっていたが、常備消防の充実が図られてきた中で、その主要な任務は常備消防に移り、消防団はその援助又は残火処理、後始末といったものに縮小してきた。消防団が火災現場に出場したときは既に常備消防が消火中であり、消火活動をする機会は少ないというのが現状であり、また、事故や救急で活動する機会もほとんど無い。そのような中で、消火活動のみを主要な任務としてきた消防団の必要性が低下してくるのは必然である。
 このことは、まず第一に消防団員の目的意識の低下として現れる。必要性の低下の中で「崇高なボランティア精神」を褒め称えても消防団の低迷が解消されないのは当然といえる。消防団の必要性の自覚と自負が無いところにその組織の活性化などあり得ないからである。
 そして、従来の役割への目的意識の低下は、従来の組織、訓練のあり方に対する団員の不満、不信となって現れる、より実践的な訓練を求める声、実際に使わない形式的訓練への反発の声は多く聞かれるようになっている。
 第二に必要性の低下は、市民の意識の中においても消防団の存在感が失われてくる結果となる。 その結果としては当然にして職場等の理解も得られなくなる。いまや後述するように団員の職種は多様化し、サラリーマン化している中で、企業の理解を得られないことは消防団活動にとって致命的である。さらに、消防団員のなり手不足、新興団地における未組織化など組織衰退の現象も生じてくる。
 このような必要性の低下に拍車をかけているのが、旧来の共同体意識の崩壊、相隣関係の希薄化そして、職業構造の変化によるサラリーマン化などである。
 消防団の任務が旧来の消火活動のみであるとすれば、象徴的なあのハッピ姿とともに、時代の変遷の中で消防団は、徐々に消滅する運命にあるといえる。これはいかに手を尽くしても無駄であろう。
 しかし、我々は今、現代社会の特徴ともいうべき高齢化や都市型災害といった新たな課題に直面している。そのような中で常備消防機関とは異なる消防団の役割が新たに生まれてくると考える。

 

 

名取市消防団の情報はこちら

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