海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

千葉県長生郡市広域市町村圏組合

長生郡市広域市町村圏組合議会の平成30年第2回定例会では、消防団について質疑応答されており、その中で消防長は、消防団員の確保が難しい要因の一つに、全国的に開催している操法大会のための訓練がある事を承知していると答弁しています。

 

f:id:KaibaraTomoaki:20200813130649p:plain

長生郡市広域市町村圏組合(ちょうせいぐんしこういきしちょうそんけんくみあい)は、千葉県茂原市、長生郡一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長柄町、長南町の1市5町1村が設立している一部事務組合です。

 

平成30年第2回定例会の長生郡市広域市町村圏組合議会での質疑では、消防団の確保対策でアンケートを実施した結果、操法大会の見直しの意見が多く、大会のための訓練を改善すべきとの意見が強いと報告がありました。 

 

ー議員ー

 本日は、通告いたしました広域消防行政での消防団員確保対策について質問をいたしますので、明快な答弁をお願い申し上げます。

 さて、消防団員は本業を持ちながら、自らの地域は自らで守るという郷土愛の精神に基づいて、昼夜を問わず消防・防災活動を行い、地域の安全確保のために果たす役目は極めて大きいものがあります。

 災害は全国的に頻繁に発生しております。火災はもちろん、6月28日の西日本豪雨では死者224名、行方不明者12名などの被害が発生しました。

 亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと同時に、行方不明者、また、避難をされておられます皆様にお見舞いを申し上げます。

 近年は想定外の自然災害や千葉県東方沖のスロースリップによる地震、さらに、南海トラフ地震が予測されるなど、消防団組織の充実は地域の消防・防災体制の要として必要不可欠と言えます。

 また、消防団員の多くは各家の後継者であり、消防団は人づくりの場としての組織でもあります。災害時の対応だけでなく、多くの目的を持つ組織であります。

 このように、消防団の必要性が増している反面、消防団員の確保や運営は多くの課題が指摘されております。

 人口減少、過疎化、少子・高齢化、さらには、就業構造の変化によって消防団員に占めるサラリーマンの割合が年々高くなっており、全国的にも消防団員数が減少傾向にあります。

 さらに、勤務場所が地元から離れていることで、昼夜における災害対応は著しく難しくなってきております。

 消防団の実態やその重要性が住民に十分周知されていない現状では、自治会の協力や消防団員のメリットなどが確立されなければ、地域においての団員確保はますます深刻化していくのではないかと、私は思います。

 当組合消防団でも、ここ数年、消防団の定数割れが生じており、部の団員数にばらつきがあり、最悪、名前だけ登録して活動には参加しない幽霊団員が幾つかの部にあります。団活動に問題があるように聞いております。

 平成25年12月に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が施行され、当組合消防団は、市長、村長や議員のご理解があり、報酬の増額やトランシーバー、夏活動服の整備など、処遇や装備は充実されました。

 一方で、消防団員の人材確保を図るための能力や事情に応じて特定の活動のみ参加する機能別消防団員制度が制定されましたが、当組合消防団では導入されておりません。

 次に、消防団の経緯についてであります。このような状況の中、昭和49年に団員数2,497名、分団制で広域消防団として発足、昭和62年には団員821名を削減し、団員数1,676名、分団制から師団制へと組織改革を実施しました。その後、平成7年に団員数1,491名、部を2部削減し、108部制にして以来、20年以上、現体制で活動しております。

 当消防団も、今後は市町村の人口動態の変化、公共施設維持管理などによる市町村財政の負担を考慮し、消防団の効率的な組織体制を確立し、運営するために、機庫の統廃合や車両の高度化など、消防団員が活動しやすい施設の整備や適正な装備の配置、部の統合・再編も協議、検討する必要があるのではないかと私は思います。

 このたび、消防団の確保対策でアンケートを実施されたそうであります。操法大会の見直しの意見が多く取り上げられたそうであります。操法訓練の必要性は理解するとのことですが、大会の必要性については明確な回答がなかったそうであります。

 大会に向けての練習は、基本動作を習得するために必要であることは理解しておりますが、大会のための訓練では、今後、改善すべきとの意見が強いように伺っております。ちなみに、熱が入っている他市の消防団では、離婚話に至った団員があるそうであります。

 前に述べたとおり、消防団員の確保、解決策は難しいと思いますが、ここでこれまでの災害での、私の体験と災害時の状況について話させていただきます。

  原市は、平成元年8月1日には雷を伴う大雨に見舞われ、3度にわたり河川氾濫が起きました。被害状況は、床上浸水730戸、床下浸水1,641戸、また、平成2年12月12日には竜巻災害により、常備消防48名、被災地消防団第1師団、第2師団、第3師団、延べ550名が招集され、消防機関の活動には人命検索、救助及び警戒、交通整理、災害現場の後片づけ等、出動団員、延べ人数1,663名とのことでありました。

 具体的な活動内容、市役所職員は被害状況調査でいっぱいいっぱい、建設業者は重機対応に当たり、消防団員は人海戦術、被害宅への対応などに当たっております。

 消防団員は自衛隊、警察と同様に、指揮命令のもと迅速な行動が行われ、団員としての使命が果たされ、災害に備える理解と体制が構築されていたからできたことだと思います。

 さらに、平成8年9月22日の大雨災害での団員の活動は、排水作業、避難誘導、交通整理、倒木及び散乱物の撤去作業など、団員出動延べ人数692名、また、5年前の平成25年10月16日の台風26号に伴う大雨災害におきましては、住家被害半壊6棟、床上浸水560棟、床下浸水654棟、一部損壊34棟、非住家被害浸水274棟、ボートによる救出人員207名など、大変な状況でありました。このように、被害現場においてはさまざまな活動に対応するため、多数の人員が必要であります。

 そこで次の3点についてお伺いをいたします。

 1点目は、今後、消防団員の確保に向け、どのような具体策を講じようとするのか、また、消防団員の加入率が悪い現状について、どのような事が理由であると考えておられるのかお伺いをいたします。

 2点目は、消防職員や消防団員OBで組織する機能別消防団員の導入は考えておられるのか、お伺いをいたします。

 3点目は、現在の消防団員の定数は適正か、また、部の統合・再編についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。

 

ー消防長ー

 消防団員の確保対策といたしましては、議員ご指摘のとおり、全国的に消防団員数は減少しており、近年では少子・高齢化の進展、被雇用者団員の増加、地方公共団体の区域を越えて通勤を行う住民の増加等によりまして、地域におけます防災活動の担い手を確保することが困難になっております。

 また、全国的に開催されております操法大会のための訓練や、家族の理解が得られないといったことも要因であることも承知しておりますが、そのような中で、団員確保の取り組みといたしまして、平成25年12月、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が施行され、国及び地方公共団体において、消防団員の確保、処遇の改善、装備や教育訓練等の充実について必要な措置を講ずるよう努める事とされたところでございます。

 当組合消防では、千葉県地域防災力向上総合支援補助金を活用し、消防団員募集のPRとしてクリアファイルを作製し、圏域内の成人式、高等学校の卒業式、また、各市町村のイベントにおいて配布し、加入促進に取り組んでいるところでございます。

 また、消防団員の処遇改善につきましても、法律施行後の平成27年度には報奨金の増額改定を行い、消防団活動の支援に努めてまいりました。消防団員の安全確保のための装備につきましても、消防団の装備の基準に基づき、充実を図っております。今後とも、地域防災力の充実強化のため、団員の確保の取り組みを継続するとともに処遇の改善、装備の充実に前向きに取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、機能別消防団員の導入につきましては、全国的に消防団員の減少傾向が続く中、地域の実情をしっかりと把握し、迅速に災害対応に当たる消防団にとりまして、役割を限定せずに消防団活動を行う基本団員が重要であり、その確保を目指すべきことは言うまでもございません。

 一方で、消防団員は、一定の年齢や任期が終わると次の世代に引き継ぎ退団してしまうことで、消防活動とは関わり合いがなくなるケースが多く見受けられます。これまで長年培ってきた経験や地域事情の精通から、消防職団員OBによる大規模災害や昼間の火災に限定した対応など、防災に関わる人々を増やすという観点から、特定の活動や役割に限定した機能別団員には大きな可能性があると考え、制度導入につきまして前向きに検討したいと考えております。

 3番目の消防団員定数と部の統廃合についてのご質問ですが、当広域消防団は発足当時の昭和49年4月には2,497名でございましたが、その後、消防団員数の適正化を図りながら、現在の条例定数は1,491名でございます。消防団活動が従来からの消火活動や予防啓発活動にとどまらず、大規模災害時における救助活動や避難誘導などに広がりを見せるため、機能別消防団の導入も視野に入れた中で検討していく必要があると考えておりますが、人口減少が続く中、団員定数は部の統廃合も含め検討が必要な時期が来るかと思いますが、組織の再編には消防団長に諮り、地域の皆様の意見も受けて、消防団と協議、検討しながら対応したいと思っております。

 

  引用元:長生郡市広域市町村圏組合議会 平成30年第2回定例会

https://choseikouiki.jp/file/kaigiroku_teirei_h30_2.pdf

 

 

 

長生郡市広域市町村圏組合消防団の情報はこちら

f:id:KaibaraTomoaki:20200517001906p:plain

 

 

--------------------
以下のキャンペーンに賛同をお願いします!
「全国消防操法大会の廃止」
http://chng.it/Kx45cBjj
--------------------