海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

静岡県 裾野市

裾野市では、2019年の市議会の中で「消防団員報酬、手当の支給方法」と、「地域からの消防団協力金」について質疑・応答がされました。

団員報酬や協力金、寄付金、出不足金の問題については、消防団員の担い手不足や負担増と同じく、全国的に問題となっています。

 

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しかしこの問題は、ただ単に法規に基づいたお金の使い方、流れに正せば良いというものでは無いと思います。

昭和時代の消防団、その環境・風土が今のお金に関する問題を生んだのです。

それらが変わらなければ、本当の解決にはなりません。

 

 

 

平成31年3月議会

ー議員ー

処遇の改善についてお尋ねします。

これは、年額報酬等の支給方法等についてです。1月15日号の広報には、入団後の処遇として、報酬、手当の支給、公務災害補償、被服などの貸与が記されています。

消防庁の通知で年額報酬等は、その性格上、本人に支給されるべきものであることを踏まえ適切に支給することとなっています。裾野市ではどのようにされるのでしょうか。

 

ー環境市民部長ー

消防団に対する報酬などは、その役職ごとに定められた年報酬と、火災や水害といった災害活動への出動、操法大会や訓練への出動手当がございます。年報酬は年2回、出動手当は年3回に分けて支払っており、その額は条例で定められております。現在、支払い方法は分団員本人からの委任を受け、一括して分団が管理する口座に振り込んでおるところでございます。

 

ー議員ー

この支払い方法については、総務省の通知、もうずっと前から全国的にいろいろな問題が起きていたり、分団の負担等から直接個人に振り込むほうがいいというようなことが出されているのですけれども、裾野市は変わらずこのまま今の方法を継続されるのでしょうか。

 

ー環境市民部長ー

今お話がありましたように、そのような支払い方法につきましては、全国的にも行われておりまして、支払いの不透明性、あるいは不祥事の発生等、問題視がされておるというところでございます。裾野市といたしましても、改善の必要性があるというふうに判断をいたしまして、来年度から一人一人の個人口座に振り込むよう方法を変更するという予定でおります。

 

 

 

令和元年6月議会 

ー議員ー

以前から全国的に問題視されている消防協力金、消防団の後援会費のあり方について伺います。

消防団と消防協力金について論ずるときに、以下の条文、判決内容がよく示されます。地方公務員法第3条3項の5、消防団員は非常勤の地方公務員である。消防組織法第9条、15条、消防団は地方行政団体の行政機関である。地方財政法第4条の5では、割り当て的寄附金等の禁止がされています。

そして、2010年3月24日の横浜地裁の判決では、消防団員の慰労のために、市民等から寄附金を受け取ることは、公務員が本来の職務やそれに関連する業務につき金員を受領しているとも受け取られる可能性があるから、決して好ましいものではない。消防団が、本来業務のほか本来業務と関連が疑われる活動につき、市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは、違法となる余地があるとあります。

これらを踏まえて、裾野市の消防協力金の実態をどのように把握されているのかお伺いします。

 

ー環境市民部長ー

市内各消防団、分団に対し協力金や協賛金と言われる金銭が寄附、あるいは提供されているということは承知をしております。地域の方々の消防団に対する感謝とねぎらいを目的としたものと理解をしており、消防団としては大変ありがたいことだというふうに伺っております。

この協力金と称される金銭の金額や提供、あるいは集金方法は、各地区や各分団により異なっており、基本的に各分団と各地区や各地域での考え方の総意で、相互の考え方の同意で対応されているというふうに伺っております。そのことから、この件に関しては直接市で関与しているものではございません。

また、ただ先ほどの質問にありました、法令等のほうに抵触する可能性という部分でございますが、消防団は消防組織法に基づく市町村機関の一部としての側面と、消防団の古くからの成り立ちを見ますと、権利能力なき社団、つまり地域住民の有志による自主的な団体という側面をあわせて持つ団体というふうに解釈をしております。そのことから、この協力金というのは、自主的な団体に対する協力金というふうにも解釈できると考えております。

 

ー議員ー

直接市が関与しているものではないということでしたけれども、法令に違法となる余地があるという横浜地裁の判決は、そのまま認められるということかなというふうに思います。

消防団の歴史というのは長くて、常備消防組織が確立されるまでは、まさに本当に命と財産を守る役割を担ってきたのが消防団です。近年は、同時に報酬、待遇、出動手当など特別職の地方公務員として、時代にふさわしい改善も進められてきています。消防団員確保の問題や、地域の高齢化などの時代の変化の中で、直接関与していないというような市の傍観者的なことではなくて、消防協力金のあり方について責任を持つべきだと思います。

先ほどの横浜地裁の消防協力金について、市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは、違法となる余地があるということについて、どのように判断されますか。

 

ー環境市民部長ー

先ほどもお答えしましたとおり、地域の自主的な団体に対する寄附金という考え方をいたしますと、横浜地裁で判断した部分というのが該当しないのではないかというふうにも考えられます。というのは、横浜地裁の判決も、明確にそれを否定しているというふうにも読み取れないという部分から、地域の団体に対しての寄附金という解釈をしております。

 

ー議員ー

確かに地域の自主的団体という捉え方、歴史の中で。横浜地裁の判決も、最低限あそこでとどまったのかなというふうに私自身も思っていますけれども、それとは別に近年の中で、協力金が消防団に対する感謝とねぎらいを目的としていると、それに公務員が本来の職務や、それに関連する業務につき寄附を受けているというのは、実際にはイコールなのが今の現状ではないかと思うのですけれども。ちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、公務員の本来の職務、消防団の本当の活動、消火であったり出動であったりだけれども、それに関連する業務、例えばパトロールであったり、何かのときに消防団が消防団として地域の中に出ていく活動、それらもやっぱり消防団本来の職務、それに関連する業務というふうに捉えるべきものだと思うのですが、いかがでしょう。

 

ー環境市民部長ー

消防団が消防団活動の延長線上として、そういった地域の活動というふうになりますと、今言うように一部グレーゾーンのような部分があるかと思います。明確に地域の団体なのか、消防団としての動きなのかということで、非常に難しい部分があろうかとは思います。

そのような考え方もございますので、この協力金について地域と、それから各消防団で協議をしていただいて、よりよい協力金のあり方、寄附金の集め方というものを議論していく中で、法に抵触しないような形で寄附金が集められる、そういった方策を消防団のほうで、あるいはまた消防団のほうから地域のほうに投げかけていただいて、よりよい形で協力金が集められることが適切かなというふうに考えております。地域住民の理解が深まることによって、今まで以上に協力金が集まるといったことも、また考えられるかと思います。そういった議論をすることは、一つ必要な時期に来ているかなというふうには考えております。

 

ー議員ー

私は、消防協力金は廃止という立場なのですが、今のちょっと答弁を聞いていて、地域と消防団で、各分団とかで話し合って適切にやってくださいというのは、これは実に無責任な話かなと思うのですけれども、この間のいろんな問題が起きた中で、消防協力金等について消防団の本部、それと各分団との話し合い、そしてあと地域と消防団と市とというような話し合いが今必要だと思うのですけれども、そこに市が入ってこないというのは、どういうことなのでしょうか。

 

ー環境市民部長ー

先ほども申しましたように、地域の団体としての活動の中で必要な協力金をいただくということになりますと、市が関与してそれを操作するという考え方は成り立たないというふうに思っております。

 

ー議員ー

今までやられてきた消防協力金は廃止して、本来の業務や活動に対する予算が不足する場合は、消防団の運営交付金等で対応すべきではないでしょうか。

 

ー環境市民部長ー

消防団の円滑な運営及び消防操法の技術向上に必要な経費として、裾野市消防団運営交付金要綱に基づき、交付金が消防団に交付をされております。

この運営交付金の対象経費は、交付要綱に定められており、消防団の運営管理、消防団の活性化及び消防操法大会に係る訓練等のための事業のうち、食料費を除く経費を対象として交付をしております。通常の消防団活動に必要な経費は、この交付金で全て賄われている、対応できているというふうに考えております。

 

ー議員ー

必要経費は、交付金で対応できているとのことですけれども、分団からやはり地域に対して、消防協力金の報告がされています。その中の消防協力金の決算書を見ますと、明らかに分団に関する消耗品や備品費、詰所の経費等が含まれています。これは、明らかに運営交付金を充てるべきものではないかと思いますけれども、このことについてはどのように認識されていますか。

 

ー環境市民部長ー

市といたしましては、詰所の運営経費、光熱費、そういったものにつきましては、運営交付金で賄われているというふうに考えております。

 

ー議員ー

それでは、この決算書についてはどのように認識されますか。

 

ー環境市民部長ー

各分団から地域の方に示される決算書のことだと思うのですが、その地域に示される決算書につきましては、市のほうでは直接入手をしておりません。市としましては、先ほど言いました運営交付金の使途についての決算書を団本部で取りまとめをしていただき、それを市に提出という形をとっておりますので、済みません、細かい内容については確認をしておりません。

 

ー議員ー

それでは、その決算書を見ていただいて、実際に詰所の光熱費だとか備品、消耗品が含まれておりますので、ぜひそれを運営交付金のほうに反映していただきたいと思いますが、いかがですか。

 

ー環境市民部長ー

各分団の細かい決算につきましては、また改めて確認をして、経理上のそごであったり、本来使途すべきところからお金を払うというところが整理できていないようであれば、そこは指導したいと考えます。

 

ー議員ー

消防団員の確保等で、団員の皆さんはもとより団員を出していないと認識される地区等の負担解消のための対策は、どのように考えられているのでしょうか。

 

ー環境市民部長ー

現在消防団員の選出に当たっては、区または区長からの推薦といったことは特に行っておりません。団員確保に当たっては、分団や現役の団員の努力、または地域の役員さんの協力を通じて確保をしております。このことから、市内で消防団員が選出されていない区について、何らかの負担を強いるというようなことを消防団のほうから行っているということは聞いてはおりません。

 

ー議員ー

消防団のほうから何かをするのではなくて、地区のほうから出せていないことに対して、申しわけないからお金で、協力金で応えたいというものがあるのです。

実際に、現在でも地区で団員を出していない分は、消防協力金でしか応えられないというような雰囲気が残っているということは認識されますか。

 

ー環境市民部長ー

特にこちらとして、具体的にそういう区があるというふうには聞いてはおりません。

 

ー議員ー

それは、ぜひ実態を調査していただきたいと思いますけれども。
あと、協力金の今の額についてですが、各区は毎年本当にいろいろな寄附とか募金等を行っています。自衛隊協力金とか宗教的な寄附については、各区でそれぞれ対応が違っているようですが、消防協力金等は区費から一括納入で、金額が1世帯幾ら、割り当て的にというケースが多いように思います。

これらのことについては、消防団にお世話になっているから、その気持ちをあらわしたいとか、本当に感謝の気持ちというのを十分持っていらっしゃいます。そういうことをあらわしたいというのもあるのですけれども、でも協力に対して、区財政の中でなかなか大変になってきているということでは、協力金の額が減額できないのかなとかというような、これまではちょっと言えなかったような意見というのも出てきています。

私は、消防協力金は廃止して、運営交付金をしっかり増やすべきだと思いますが、これらの消防協力金について地域からの声、市民の声は、現時点で何か把握されているものというのはありますか。

 

ー環境市民部長ー

最初に申し上げたように、各地区によりまして、その集金の方法、あるいは金額がいろいろ異なっております。地域の区長会からの一括納入の場合、それから各世帯から集めて、区長さんが各区ごとに納入する場合等さまざまなやり方があるというふうには聞いております。そこでの負担というのは、全く聞かないということではなくて、それなりにやはり消防協力金ってどうなのだという話は確かに耳にいたします。

そこで必要なのが、先ほど申し上げたように、その地域と消防団でぜひ話をしていただいて、地域が消防団をぜひ盛り上げたいのだ、だからこれだけの金額は出すのだということが相互の中で認識できれば、それは負担ということではないと思いますし、地域が、とてももうこんなには払えないということになれば、それは金額が変わる可能性があります。ですから、先ほど申し上げましたように、改めて地域とお話をしていただいて、よりよい形で、地域が納得するような形で協力金というものを出していただくということが、一番ベストではないかというふうに考えております。