海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

山梨県 南アルプス市

山梨県南アルプス市は、消防団員の確保や負担軽減について、アンケート調査等を行いながら、消防団のあり方検討会、正副団長会議、市議会等で、議論を重ねています。

市議会では、消防団を変えることは難しいと多くの関係者が口にする現状を認識しながらも、解決の方法を今後も検討していくと述べています。

 

今の消防団を変えるには、思い切った改革が必要です。それには各市町村の自治体はもとより、県や国(総務省消防庁、日本消防協会等)が動くことが望まれます。

そのきっかけを作るのは私たちの声です。

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◆平成29年 第1回定例会(3月)

ー議員ー

消防団の活動内容の見直しについて、質問いたします。
私も25年ほど前は、消防団員でした。私が消防団員であったころは、活動の範囲が隣接する町までとなっておりましたので、今よりも出動回数も非常に多かったと思います。

火災や防火・防犯活動はもちろんですが、豪雨だとか大雪に対する対応、それから行方不明者の捜索、そして消防団の活動として、夜警、出初め、それから秋季連合演習、小型ポンプ操法の県大会出場、そのほかにも地域のさまざまな行事に参加していた記憶がございます。

あれから25年ほど経ちますが、本当に猛烈なスピードで世の中は変化しております。日本では少子高齢化が世界に類を見ないほどの速さで進んでおりまして、人口減という状況になっています。

こうした中で、さまざまな社会環境、就業環境の変化とともに、ライフスタイルも変化してきまして、従来、常識といわれていたものが、非常識になってしまうようなことさえも起きております。

先ほども申し上げましたが、消防団の活動というのは、災害時の発生だけにとどまらず、地域の行事に参加する場合も非常に多くなっておりますので、これが1つの団員の活動の負担になっているのではないかと考えております。

消防団を取り巻く社会的な環境や時代の変化を考慮して、消防団の活動内容の見直しを行う必要があると、私は考えておりますが、市の考えを伺います。

 

ー市長ー

消防団員の活動内容につきましては、ご質問のとおり、災害時の対応だけではなく、災害に対する各種訓練や災害予防のための年末年始夜警、春・秋の火災予防運動の啓蒙活動、また入退団式、出初式等の行事や地域のイベント等へも参加していただいております。

こうした災害時以外に参加する機会が多いということが、団員の負担が大きくなっていることをかんがみ、本市では過去にも消防団員を対象に各事業の縮小や廃止、消防団員の確保等のことでアンケート調査を実施しており、アンケート結果を参考にしながら、各式典の時間短縮や事業の見直しを行ってまいりました。

昨年末にもアンケート調査をしたところでございますが、今回も多くの意見をいただきました。これも今後の消防団のあり方や、時代に見合った消防団のことを真剣に考えていただいている結果だと感じております。この貴重な意見を無駄にせず、今後もあり方検討会や正副団長会議の中で活動内容を見直して、団員の負担を少しでも軽減できるよう、方策を検討してまいりたいと考えております。

 

ー議員ー

今のお話にありました、昨年末のアンケートの中には、例えばこの消防団活動に関する質問だとか、それに対する回答だとか、どのような内容が含まれていて、どのようなことが、この団員から意見として挙がってきているのか、お答えいただくことはできるでしょうか。

 

ー消防長ー

現在、消防団については、地域になくてはならない存在でございますが、やはりさまざまな要因等がございます。

その中で、やはり減少の1つの要因は、消防団の諸行事が大変だという回答がございます。その中では、入退団式、あるいはソフトボール大会、そういったものについて、時間を短縮したらどうだとか、こういう大会はいらないのではないかという、いろいろな回答がございます。

総じて、まとめてみますと、やはり諸行事の時間数が長いとかということが多いようでございます。あとは出動回数が少し多すぎるとかという回答がございます。そこは、やはり今の消防団適齢期といわれる人たちにとっては、自分の時間も大切にしたいと。

その中でもちろん地域も守るということは分かっているけれども、やはり現在の若者の考え方というものもありますので、そのへんはなかなか合致できない部分もあるかと思います。

こういったことをアンケートの状況を見ながら、消防団のあり方検討会、あるいは正副団長会議等において、さらに行事等の見直しを図っていきたいと考えております。

 

ー議員ー

団員の負担を軽減するということは、消防団の活動を将来にわって継続していくということの1つの大きな要件ではないかと思います。消防団というのは、長年、地域を守って住民に愛されてきた伝統のある組織だと思っています。

ただ、単に伝統があるから、伝統だから守れということに対して、私はちょっと違和感を感じていまして、いわゆるずっと残ってきたものだから、残さなければいけないと。

こういうことではなくて、やはり組織なり、活動の価値を受け継いでいくことが伝統ということではないかと、私は思っています。

 

ー消防長ー

ただいま、議員さんがおっしゃるように、もちろん時代に合った活動にしていくことは、非常に大事なことでございます。

そうは申しましても、消防団本来の持っている昔からの伝統・歴史というものがございますので、そのへんを踏まえた中で、時代に合った活動内容に、さらに検討を進めていくということで、進めさせていただきますので、ご支援等よろしくお願いしたいと思います。

 

ー議員ー

消防団のことについて、私も地域の皆さんですとか、消防関係者の方々と、これまでにもいろいろなお話をさせていただきましたが、皆さん一様に消防のことは難しいと。消防のことを変えることは、簡単にはできないとおっしゃいます

これはなぜかということなんですが、やはり伝統あるというところを切り離せないということから来ているのかなと、私はちょっと感じています。

今、消防長がおっしゃるように、確かに消防団の伝統ということも大切なことかもしれませんが、私が申し上げたいのは、活動内容を見直ししていただく上で、一つ思い切った発想で見直しをしていただきたい。そんな思いでおります。

 

 

 

◆平成30年 第4回定例会(12月)

ー議員ー

人口減少社会における持続可能な消防団のあり方について、質問を行います。
1つ目の質問、市民と議員との懇談会において、多くの自治会で団員の確保に苦慮している実態が明らかになったが、市は現状をどのように把握し、対応しているのかを伺いたいと思います。

 

ー市長ー

現在、本市の消防団員は、800名の定員数に対して今年度786名となり、昨年度の728名から58名増加し、市消防団発足以来、減少を続けてきた団員数が増加に転じております。

これは、平成27年度から消防団あり方検討会を設立し検討を重ねてきた方策として、本年度より機能別消防団員制度をスタートしたことによる成果であり、今後も本制度の周知徹底を図り、消防団員の確保に努めてまいります。

消防団員確保の状況を調べたところ、これまでは消防団員が直接、対象者のお宅を訪問して勧誘しておりましたが、これも団員の負担の一つとなっているとのことから、ここ数年、地域から消防団員を選出してもらう方法へ移行した自治会もあります。

市といたしましては、消防団員の負担軽減につながることから、団員確保に苦慮している消防団ならびに自治会に対しましては、地域からの選出方法等の紹介を行っているところであります。

地域の防災の要である消防団員については、各地区のご協力を得ながら、団員の確保を推進してまいりたいと考えておりますので、議員各位の絶大なるご支援をお願いいたします。

 

ー議員ー

10月24日に総務常任委員会と消防団との懇談会が開催されまして、現役の消防団から消防団活動に関する率直なご意見を伺うことができました。ここで一番多かった意見が団員の確保の難しさということで、団員の勧誘に行っても親から断られる。あるいは本人に会わせてもらえないという状況が市内のどの地域にもあって、区に団員の勧誘をお願いしている地区であっても、なかなかそれがうまくいっていないというお話を伺いました。

これは単に消防団内部の問題だとか、あるいはその地区の問題であるというふうな、あるいは捉え方もできるかもしれませんけども、その市内のほとんどの地区で、そんなふうな状況になっているということを考えれば、やっぱり市全体の問題として、対応策を協議すべきではないかというふうに考えています。

今、答弁の中で自治会を巻き込んで、あるいは自治会主導で団員の確保にあたって効果を挙げているというような地区があるようなお話を伺いましたけれども、もしそうであれば、そのような対応を全市に、具体的に働きかけていってほしいというふうに思いますが、市の考え方を伺いたいと思います。

 

ー消防長ー

先ほど、議員からのご質問の内容でございますと、自治会からの消防団員の確保を推進していただいて、うまくいっているところがあるというふうなことで、それらも消防団のほうから伺っているところでございます。

今年度も年度当初に、やはり消防団員の確保で自治会と消防団のほうで話し合いを行った経緯がございます。それは一部の地区でございますけども、それらの地区に事務局の消防課のほうで出向きまして、一緒になって相談させていただいた経緯もございます。

本年度も自治会の総会におきまして、自治会から消防団員を選出していただいている地区のご紹介をさせていただく中で、消防団の確保に困惑している部におきましては、そういうふうなところもご検討いただきたいというふうな推進をしておるところでございます。

 

ー議員ー

2つ目の質問になりますが、消防団員の入団拒否の理由に諸行事への参加が多いことが負担であることが挙げられている。平成29年第1回定例会において、団員の負担低減策の検討が示されているが、その検討結果について伺います。

 

ー消防長ー

消防団員の諸行事への参加につきましては、これまでにも県消防団員操法大会の開催が毎年開催から隔年開催になり、県消防団員親睦ソフトボール大会出場への本市の予選大会の廃止など、県の消防協会、また市においても負担軽減を行ってきておるところでございます。

さらに正副団長会議においても検討を続けておりまして、本市主催の入退団式や出初式等の廃止はできませんけども、式典やイベント等の時間を短縮することで団員負担の軽減を図ることとし、今年度から諸行事において時間短縮に努めているところであります。

また、今後は本団行事のみならず、各分団における行事等の団員の負担軽減について啓発を行ってまいりたいと考えております。

 

ー議員ー

いろいろと、行事の時間短縮ですとかに取り組んでいただいているという様子は分かりました。

やっぱり懇談会で話を聞けば聞くほど、消防団の皆さんは地域を守るということだとか、あるいは地域コミュニティづくりに強い責任感を持って取り組んでいられることがよく分かりました。例えば区の行事であります河川清掃とか、お祭りとか、運動会とか、あるいはどんど焼き、年始の行事などにも積極的に参加されております。

こういった行事参加に加えて、訓練に数カ月を要するポンプ操法大会の出場などは、毎年のことではないにしても非常に団員の負担となっているのは事実です。

消防庁が消防力の整備指針というのを定めていまして、その第36条には消防団員の業務というのが8つ決められております。そのうちの7つについては、火災だとか自然災害に対する対応ということで、いわゆる消防団本来の役割を果たすような業務だと思いますけども、8つ目に地域の事情に応じて、特に必要とされる業務というのが載っておりまして、おそらくこの部分に消防団として、あるいは地域としての諸行事が大変多く含まれているのではないかというふうに私は思います。

ただ、この部分というのは地域の事情なんかによって、もう慣例化されているようなところですので、おそらく市では関与できないというような部分かもしれませんし、操法大会などは県だとか国の取り組みとも関わることですので、簡単になくすようなことというのは難しいのではないかなというように思いますけども、いずれにしても行事に要する時間の短縮ですとか、あるいは行事への参加の必要性の有無ですね、こういったところを今後も地域と協議していただいて、やはり消防団、火災の鎮圧とか予防とか、あるいは自然災害の発生したときの対応というところに絞り込んだ活動にしていっていただくような検討を進めていただきたいというふうに思いますが、市のお考えを伺いたいと思います。

 

ー消防長ー

先ほど議員の質問の内容で、まず操法大会、毎年開催から隔年開催になったというふうなことでございますけども、毎年開催のときには毎年2種目の開催をしておりました。南アルプス市消防団としましても2つの分団で出場していた状況でございます。隔年開催となったときには、1種目の開催というふうなことになりましたので、2年に一度出場する。それを各分団輪番で出場していただくというふうな形に相当の負担軽減を図ってきたところでございます。

ただし、各地区の行事等につきましては、非常に消防団と自治会のつながりが強いというふうな地区もございまして、自治会からの依頼で消防団が動いているという状況も伺っております。また、防火貯水槽の有蓋でない部分ですね、それらの貯水槽の入れ替えを行うとかというふうなところも消防団が一緒にやっているというふうなことを伺っております。

どこまでが規制できるのか、どこまでが消防団の業務かと非常に議員のおっしゃるとおり難しいところではございますけども、これらにつきましても各団の状況を伺う中で検討してまいりたいと考えております。ただし、これは事務局で線を引くことが非常に難しい問題でございますので、区の状況を調査させていただきたいと考えております。

 

ー議員ー

今、ご説明いただいたようなさまざまな取り組みですとか、検討もしていただいているということなんですけども、今回、市民懇談会というのをやりまして、本当に率直な意見を伺うことができました。やっぱり団員の確保なんかに、非常に現役の消防団の方が困っていると。区も困っていると、そういう状況もありますので、ぜひ今後もそういったあり方検討会とか、あるいは正副分団長会議、そういった会議体を通じて市民の方の声を拾い上げていっていただきたいと、そういうふうにお願いします。

 

 

団員確保等の問題は各自治体での議論・検討は必須ですが、消防庁や日本消防協会の考え方の改革も必要であると考えます。 

現代における消防団のあるべき姿とは何かという根本的なところを見つめなおす必要かあります。もう今までの消防団の伝統や、利害関係などを考慮している場合ではありません。

 

 

 南アルプス市消防団の情報はこちら

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