海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

茨城県 土浦市

茨城県土浦市は、令和元年9月の議会にて、消防団の機能別消防団の活動内容と、基本団員の訓練内容について質疑応答されています。議員からは、ポンプ操法大会は高齢化した団員の大きな負担であり、新規団員の募集を阻む要因にもなっているのではないかと発言されています。

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土浦市 令和元年第3回定例会 09月10日-03号

-議員- 
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。大きく2つございます。
 1つ目は、消防団についてであります。以前、消防長のこの場のご答弁で、地域防災力の中核として欠くことのできない、代替性のない存在であると、消防団を定義付けられておりました。私も全くそのとおりだと思います。消防団員の担い手不足が深刻な状況にあるのは、皆様ご承知のとおりだと思います。
 そこで、まず初めに、土浦市の消防団員の人員の状況についてをお伺いしたいと思います。
 そして質問の1番目、今年度から始まった機能別消防団についてであります。通告書では「昨年度」と書いてしまいましたが、「今年度」の誤りでありました。訂正させていただきます。
 8月30日の茨城新聞に、折しもこの機能別消防団についてが1面に取り上げられておりました。この内容をちょっとかいつまんでご紹介させていただきます。
 不足する団員を補完する役割として、総務省消防庁が2005年に導入した。本県では、当年、大子町を皮切りとして、現在、本市を含め県内12の市と町に導入されている。対象者や活動内容は自治体ごとに異なるということであります。
 そこで、質問させていただきます。
 本市においての機能別消防団とは、対象者や活動内容がどのようなものかをお伺いいたします。
 私は、15年ほど前まで消防団に所属して活動をしておりました。私が所属していた地元の消防団は、現在定員を大きく割り込みまして、約半分ほどになってしまっております。この状況ですと、担当区域に火災があった場合でも、放水するのがままならない状況であります。
 そこで、私たち消防団OBは、地元で火災があった時には現場に駆けつけ、消火活動を支援するのを手伝うということを心構え、日頃からしております。実際に、もうしばらく前になりますが、町内で建物火災があり、その時は残念ながらお住まいのお年寄りの方が1人亡くなりましたが、その時にも放水活動の支援をいたしました。
 しかし、そこで心配になるのが、万が一けがをした時であります。家族に心配をかけるばかりでなく、関係各位に大きな迷惑をかけてしまうことになると思います。そこで、私たち消防団OBもこの機能別消防団に組み入れてもらえるのかどうか、あわせてお伺いをしたいと思います。
 質問の(2)であります。現在の訓練状況についてお伺いいたします。
 消防団員の訓練と言えば、毎年7月に行われているポンプ車操法大会がまず挙げられます。このポンプ車操法大会は、競技でありまして、何回も何回も同じことを訓練することによって、基礎を体に覚え込ませるという点で大変意味のあることだと考えております。しかし、近年は、建物の防火構造が大変進みまして、火災の発生件数はさいわいにも減少しております。しかし、結果として、団員は実際の火災現場の経験が少なくなっております。そこで、求められるのが実際の災害現場を想定した、より実態に即した訓練だと考えます。
 そこで、質問をいたします。
 今、消防団員はどのような訓練を行っているのか、お伺いをいたします。

 


-消防長-

 まず1点目、今年度から始まった機能別消防団についてお答えします。
 本来の消防団活動を行う団員、これを基本団員と言いますが、機能別消防団とは、仕事や家庭の都合などで基本団員が行う全ての活動に参加することができない人でも、特定の活動や役割に限定して消防団活動に参加することができる制度です。このような制度が生まれた背景としては、地域コミュニティの希薄化や消防団員の担い手層のサラリーマン化などの影響により、団員の確保が困難となっていることが挙げられます。全国の消防団の状況を見ると、昭和27年、209万人をピークに減少傾向が続いており、現在は85万人を下回る状況となっています。

 本市においても、平成18年には571人、団員がおりましたが、本年4月には506人に減少をしております。団員定数629名に対し、充足率80.4%という状況となっております。今後も団員が減少することが想定されることから、今年度、機能別消防団制度を導入することといたしました。

 機能別消防団の主な活動例としては、消防職・団員を引退した方が豊富な経験を活かして活動する「OB団員」や、火災予防の啓発、高齢者家庭の訪問などを行う「予防広報団員」、大規模災害が発生した時に活動を行う「大規模災害団員」などがあります。

 本市では、大規模災害時の住民の避難誘導や避難所設営の補助活動のほか、各分団における消火活動の補助などを行っていただく「大規模災害対応隊」と消防団の各種イベントの際に音楽演奏を行う「ラッパ隊」の2隊を本年4月1日に発足させました。現在は、退団して5年以内の消防団OBの方を中心に呼びかけを行っております。現在、大規模災害対応隊員が12名加入していただきました。その他、ラッパ隊員1名の合計13名が、機能別消防団員として活動を行っております。
 今後は、大規模災害対応隊員を市内28カ所全ての避難所に配置できるよう、30名程度まで増員し、大規模災害に備えたいと考えております。議員も、ぜひご参加いただければと思います。
 機能別消防団は、消防団員の減少による地域防災力の低下に歯止めをかけることを目的に、基本団員を補完する制度として導入したものですが、同時に、消防団入団に対する心理的なハードルを下げ、基本団員確保につなげることも期待をしております。引き続き団員の確保に努め、消防団活動の充実・強化に努めてまいります。

 次に、質問の2点目、消防団員の訓練の状況についてお答えします。

 多様化・大規模化する災害に的確に対応するためには、消防団員一人ひとりの知識・技能の向上を図ることが必要であり、団員に対する教育・訓練は極めて重要であると考えております。団員に限ったことではありませんが、建物の耐火性能の向上や住宅用火災警報器の普及などにより、一時期に比べ建物火災の件数が減少しており、実際の火災現場を経験する機会が少なくなっていることから、これまで以上に訓練の重要性が高まっている状況となっております。

 現在、本市で行っております消防団の訓練としては、先ほど議員からも紹介のありました「ポンプ操法訓練」のほか、水防訓練における「積み土のう・月の輪・五徳縫い工法」などを行う「水防対策訓練」、地域防災訓練時の建物火災を想定した「火災防ぎょ訓練」を行っています。また、山林を多く抱える旧新治地区を管轄する第4・第5方面隊では、2年に1度、「林野火災中継訓練」を行っているほか、消防団女性部では、救急救命士の指導による応急手当や、心肺蘇生法などの技術習得のための訓練を実施しております。

 その他、新たな訓練として、消防本部と消防団との情報共有と情報伝達の円滑化を図り、効率的な活動と団員の安全確保を図るための「無線交信訓練」に取り組んでいます。これは東日本大震災の際、情報伝達の手段がなかったため、多くの団員が犠牲となった反省を踏まえ、平成26年2月、国において「消防団の装備の基準」が改正され、消防団への無線機の整備が強化されたことを受け、本市においても、平成28年度から5年計画で全分団への無線機の配備を進めており、機器の適正使用も含めた交信訓練に取り組んでおります。

 今後も消防団幹部の皆さんとも相談をしながら、実際の災害に即した、より効果的な訓練に取り組み、防災体制の一層の強化に努めてまいります。

 

 

-議員-

 大変丁寧なご答弁ありがとうございました。まず、消防団についてですが、引き続き団員の確保、そして、より実態に即した訓練の実施をお願いしたいと思います。
 さて、先ほど取り上げましたポンプ車操法大会について少し述べさせていただきます。

 この大会は、土浦市が新治村と合併する以前の旧土浦市にある第1方面隊から第3方面隊において、全個の分団が毎年大会に出場しております。しかし、高齢化している団員にとっては、これが大変な負担になっている可能性があります。今40代、50代の団員たちが、仕事を終わった後、9時ぐらいから練習を始め、場合によっては11時ぐらいまで練習をしております。その姿を見ていると、本当に大変だなと思います。このことがもしかすると新規団員の募集を阻むことになっているかもしれません。

 そこで、いろいろな実施方法を検討していただけないかなというお願いでございます。もちろん毎年優勝を目指して団員一丸となっている分団もあります。ですから、それぞれの分団において適切な参加方法をぜひ探っていただきたいと思います。例えば、数年に1度であるとか、幾つかの分団が合同チームを組んで参加する、そういった方法もあってもいいと思います。また、そういったことによって、実際の出場する分団が減ったときには、今は水を出しているつもりの、いわゆるカラ操法というやり方でありますが、実際に水を出す水出し操法を検討いただいてもいいのかなと思っております。

 私が言うまでもなく、消防は市民の大切な生命、財産を守るとても貴重な存在であります。これは消防団ばかりでなく、職員も含めた土浦市の消防力、この向上をぜひ目指していただきたいと思っております。私も機会あるごとにこの場で取り上げていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 

 

 

土浦市消防団の情報はこちら

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