海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

千葉県 君津市

千葉県君津市は、消防団の充実強化や処遇改善、負担軽減などについて過去から継続的に議会や委員会、消防本部で協議し改善を図っています。

 令和2年12月の議会では、実践的でない操法大会の代わりに、火災や大規模災害対応等の能力向上に充て、団員やその家族の負担軽減を図ることも一つの考え方ではないかと議員さんより質疑され、消防長からは、操法大会が団員にとって負担を感じているという意見があることは認識しており、操法大会に代えた訓練を行うなどの取組を行っている自治体の調査研究をしていくと発言されています。

これら直近の議会の様子を紹介します。

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君津市 令和2年3月定例会(第1回) 03月02日-03号

ー議員ー
 それでは、質問に入ります。
 創政会を代表しまして、我らのふるさと君津市をしっかりと活性化し、次世代に引き継いでいく、そうした思いを込め、大綱7点、細目15点の質問をいたします。石井市長におかれましては、明快なる答弁をお願いいたします。
 私は、消防団長として1,000人余りの団員とともに、市民の命を守るため消防団活動をしてまいりました。その経験から申し上げれば、組織にとって最も重要なのは、リーダーの強い意志だと考えます。また同時に重要なのが、今、部下たちが何を考えているのかを察する力です。私も、石井市長の市民と対話する姿勢は評価いたします。しかしながら、この君津市をどうするのか、市役所をどう動かすのか、その責任は市民でなく、リーダーである市長の責任であることを忘れていただきたくありません。

中略

続いて、大綱6、消防団の充実強化について、細目1、処遇改善や負担軽減のための分団統合について。
 地域の人口減少に伴い、地域を守る消防団員の減少と在団期間の長期化が続いています。分団によっては維持が困難なほど若者の減少に直面しています。また、国が求める消防団員の処遇改善や消防団予算の拡充も、財政難の中で十分に進んでいません。消防団員の確保について、現状は各分団に任されていますが、その事務と責任は消防本部にあります。
 小糸分署の建て替えで、各地区の消防力の拠点整備が一段落した今こそ、地域に必要な消防力を適切に再配置する観点から、全市的な分団統合を石井市長がリーダーシップを持って進めるべきです。そして、団員の負担軽減を図り、国基準の団員報酬や出動手当、消防団運営に対する支援を実現すべきと考えますが、見解をお聞きします。


ー市長ー

 大綱6、消防団の充実強化について、細目1、処遇改善や負担軽減のための分団統合についてお答えいたします。
 消防団員においては、災害時の出動のほか、平常時から地域に密着した活動を行い、特に令和元年9月、10月の一連の風水害における対応では、火災出動や警戒活動、安否確認など、様々な災害対応に従事していただきました。この功績が国からも認められ、防災功労者消防庁長官表彰の受賞について連絡をいただいております。消防団の皆様には、改めて深く感謝を申し上げます。
 近年、人口減少や社会情勢の変化などにより、全国的に消防団員が減少傾向にあり、本市においても同様の課題に直面しております。このようなことから、現在、消防団組織再編実行委員会において、まずは活動が難しくなっている分団の再編を中心に進めておりますが、続いて、地域の人口見通しなども参考に、全地区を視野に入れた再編について検討してまいります。
 次に、処遇の改善については、平成31年4月に県内の状況を踏まえ、部長と団員の報酬を増額し、年額支給としてきた出動手当は、出動の回数と区分に応じた支給方法に改善したところでございます。
 引き続き県内の状況を注視しながら、消防団員の処遇の改善に努めるとともに、消防団を中核とした地域防災力の充実強化を図ってまいります。


ー議員ー

消防団について。
 答弁にもあったが、このたびの災害での消防団の活躍に心から感謝申し上げます。消防予算は、市民の理解で分署建て替えなど進めてまいりました。ここからは時代に合わせる部分と、今さらに頑張って活動している団員たちに報いる観点から、消防本部がしっかりとした考えのもとに、答弁にあったとおりの全市的な分団統合、事務改善に取り組んでいただきたい。議会、そして消防委員会も協力していくことをお約束申し上げる。

 

 


君津市 令和2年3月 定例会(第1回) 03月04日-05号

-議員ー
次に、消防団について。
出動手当を回数に応じて頑張る団員に応えるとしながら、その支給額が少ないという声がありますが、見解をお聞きします。また、活動中のけがの状況や各種の改善状況についてお聞きをいたします。


ー消防長ー
 大綱4、消防政策について、細目1、消防団支援と待遇改善についてお答えをいたします。
 消防団の出動手当につきましては、今年度から出動の回数と区分に応じた支給とし、4期に分けて個人の口座に支払いを行っております。今年度は1期、2期の支払いが完了しており、その平均支給額は5,210円となっております。
 消防団員の公務災害の発生状況については、消防団員等公務災害補償等消防基金が公務災害と認定した平成29年度の統計では、消火活動が16.5%、演習訓練が66.5%となっており、その演習訓練の中でも、ポンプ操法の訓練等に関する事故が67.8%となっております。
 消防団活動等の改善状況につきましては、事務の改善として、消防団への各種調査や書類の提出方法を一部見直したほか、現在、事務などの改善ができるよう、スマートフォンを活用したアプリについて調査を行っております。
 交付金については、消防団活動の運営に係る費用として、君津市の各地区を統括する5つの支団に対し、それぞれ35万円を交付しておりますが、編上靴などに一部自分で支払ったものが存在すると聞いておりますので、消防団員が負担することがないよう努めてまいります。

 

-議員ー
消防団についてもう1つ、出動手当。今までは、100回出動しても1回出動しても6,000円ということで、多く出動する団員が1回当たり500円を切ってしまうというような状況がありましたので、1回当たりの改正をしていただきました。しかしながら、支払われる金額は現時点で5,000円ということで、もともと6,000円というふうにしていたのに、それさえ配られていないということで、まさに団員たちに対する出動手当の充実・強化という、お題目はいいですよ、言葉はいいですよ、だけど、実際には支払われていないということがデータで明らかになりました。ぜひこの点は改善していただきたいというふうに思います。
 また、消防本部も少しよくないところがあって、例えば、これは出動手当の対象になる出動ですよ、これは対象じゃありませんよ、そういうことで予算を縮減しようとしています。しかし、財政部長、お聞きしますが、この全ての消防団員の活動は公務災害にあたるかあたらないか、ご存じですか。

 

ー財政部長ー
 全てのものがその対象になるかどうかは、申し訳ございません、わかりません。


-議員ー

 これは消防団員としてする活動全て、この活動は出る、この活動は出ないということじゃなくて、公務災害という考え方でいえば、全てそれは公務災害の対象になる。しかしながら、その中で、我々の財政難なり、お金が大きくなり過ぎないようにということで選別をしているということです。これもコンプライアンス上、法令上、適切なことではないというふうに思います。
 また、台風で壊れてしまった清和地区の消防団、まさに一生懸命働いてくれましたよね。市長も感謝申し上げていました。その消防団の機庫が壊れたのに、修理しないでそのまま壊して更地にしてしまった。操法訓練も始まりました。歳末の夜警活動もありました。そういうときに消防団の機庫を直さない状態で、今も過ごしているというのが現状でございます。言葉はいいんです。だけど、団員を助けて、そして一緒にこのまちの安全を守っていきましょうと言いながら、台風で壊れたものをいまだにそのままにしている。これはいいかげんだなというふうに思います。ぜひ支団の交付金の面からも様々な改善をする必要があると思います。

 

 

君津市 令和2年9月 定例会(第3回) 09月07日-03号

-議員ー
消防団について。市からの報酬を活動費として寄附せざるを得ない点、また、操法の練習などで、団員のけがや公務災害が軽視されているのではという点について、実態を伺います。

 

ー消防長ー
 消防団員の報酬等につきましては、平成29年度から個人口座への支払いとしております。
 その報酬等の全額または一部を分団が消防団活動の運営に係る費用として徴収している例もあるとのことですが、消防本部では把握しておりません。分団に交付している消防団運営交付金の額で活動に支障があるのか否かにつきましては、実態の把握に努めてまいります。
 次に、消防団員の公務災害について、本市の平成25年度からの発生状況を見ると、消防団員等公務災害補償等共済基金が公務災害と認定した件数は6件であり、うち、ポンプ操法の訓練による件数は4件であります。
 長期間に及ぶ訓練は、けがにもつながりかねないことから、各分団の訓練状況を把握し、公務災害を未然に防ぐ取組に努めてまいります。また、公務災害補償制度は消防団員が公務により負傷などをした場合に治療費等について補償するための制度であることから、広く消防団員へ周知を図ってまいります。

 

-議員ー
消防団員の報酬について、徴収されているかどうか把握はしていないということですので、実態調査をよろしくお願いいたします。また報告をお願いします。
 また、操法のけがについて、全国調査でも消防団員の公務災害のけがの多くが操法大会向けの訓練であるというふうにされています。本市でも、公務災害だけで4件あるということが分かりました。
 実際には、肉離れをしたり捻挫をしたり、皆さんも操法をやった方、いらっしゃると思うんですけれども、もっと多くの方がいると思いますが、もし、これを公務災害なのに公務災害として取り扱っていないということは、これはコンプライアンス違反になりますので、ぜひ、そういうことがないように実態調査をお願いしたいということ。
 そして、消防団に関しては、長野県の消防団の改善に努めた団長がアドバイザーとして総務省消防庁から派遣される制度がありますので、新しい取組をしている消防団員や家族のための取組をしている、そういうアドバイザーにぜひ来ていただいて、もう1レベル上の消防団政策に取り組んでいただきたいと、これは要望をいたします

 

 

君津市 令和2年12月 定例会(第4回) 12月03日-02号

-議員ー
 最後は消防について。消防団を重要な存在として位置づけていますが、消防団員が最も苦労しているのが新入団員の勧誘です。それについて本市がかけている費用を伺います。
 操法大会について。思い切って、先進地のように、実践的でない操法大会の代わりに、火災や大規模災害対応等の能力向上に充て、団員やその家族の負担軽減を図ることも一つの考え方かと思いますが、見解を伺います。


ー消防長ー
 大綱3、消防団員とその家族の支援のために、細目1、団員募集と操法大会のあり方についてお答えいたします。
 消防団の新入団員の勧誘につきましては、消防団員確保推進員制度の活用や、広報紙「わがまちの消防団」の発行、自治会回覧のほか、広報きみつ及びホームページ等で消防団員の募集案内を掲載するなどの取組を行っています。また、新入団員の加入促進を図るための取組として、消防団員への優遇サービスの提供を行う君津市消防団応援の店事業を展開しています。そうした勧誘活動に要する費用は、広報紙等の印刷に係る消耗品程度となっています。
 操法大会は、火災現場において、迅速かつ的確な行動を取ることができる消防技術の習得と、団員の士気高揚を図ることを目的に実施しております。その操法大会が、団員にとって負担を感じているという意見があることは認識しております。
 そうした中で、来年度予定されている操法大会に向けた訓練については、回数及び時間に制限を設けるなど見直しを行っております。また、長野県箕輪町では、操法大会に代えて、火災や自然災害に対応するための実践的な訓練を行っていると伺っております。
 操法大会に代えた訓練を行うなどの取組を行っている自治体はほかにもありますので、調査研究をしてまいります。

 


-議員ー

 熱意のある答弁、ありがとうございました。
 最後は、消防団の操法大会について。まず、新人の勧誘について、ほとんどゼロである。組織で人を集める、それが組織の大事なことですよね。新しい人が入って、卒業していく。それのために、ほとんどお金をかけていないというのは、あり得ないというふうに思います。大事だと言うんだったら、成人式のときに配れる、引きつけるようなパンフレットもやっていただきたいし、私は例えば新成人に、消防団に対するアンケートに応じてもらって、これもデジタル化なんですけれども、応じてもらったら500円のPayPayをプレゼントして、その日使ってくださいなんて言って、私たちとしては、消防団に対する若い人たちの関心を集めるとか、工夫をする。今の若い人が入りやすくなるような消防団のために尽くしていただきたい。また、操法大会についても、コロナ禍ですから、団員と家族の安全・安心をしっかり守るという観点で見直し、長野県箕輪町の話もありましたが、ぜひ古くだけを守るんじゃなくて、新しい時代の消防団を応援するための政策を練って、団員や家族、そして最後、地域の安全・安心が守れるように、ぜひ具体的に取り組んでいただきたいと要望して終わります。

 

 

君津市消防団の情報はこちら 

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