海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

操法大会の5つの問題点

消防団員が訓練を行うポンプ操法と、その成果を競い合うポンプ操法大会。この「操法大会」の何が問題なのかを色々な視点から考えてみたいと思います。

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ポンプ操法を「大会」にした弊害

 

1.消防団員の負担が増え、団員減少化の一因となった

 このことについては、消防庁も認めていることから多くは語りませんが、消防庁が実施した「消防団員の処遇等に関する検討会」の中でも大きく取り上げられ、最終報告書のなかでも、「操法は消防団員が火災現場の最前線で安全に活動するためにも重要なものであるという意見がある一方、操法大会を前提とした訓練が大きな負担となり、幅広い住民の消防団への参加の阻害要因となっている、という指摘もある」と記載されています。

 

2.消防団員の事故や怪我を増加させた

 こちらについては、下記の過去記事にて詳しく記載しておりますので参照ください。

www.kaibaratomoaki.info

 

 

3.選手というカテゴリーをつくった

 代表選手を決めて競うことから、選手とそれ以外の団員に技能の偏りが発生してしまいます。それにポンプは選手の中の一人しか操作をしませんので、ポンプ操作ができる人を増やしにくくさせています。また大会当日に参加できない団員は選手に選ばれません。一部で「操法競技」を何年も何年もやってプロ意識を持っている方もいますが、少数精鋭のプロフェッショナルは「常備消防」が担うべきであり、消防団は、多くの人員を投入しなければならない事態に対応できるアマチュアであるべきだと考えます

 

 

4.操法を無駄に難易度を高くした

 やることは「ポンプという機械で水を吸い上げ、その水をホースで放水する」だけです。これだけなのです。たったこれだけの事を大会=競技にしてしまったことで、優劣をつける為に無駄なことにこだわる必要がでてきてしまいました。要はわざと難しくしているのです。

 この難しくしたことが、ある一定の消防団員の自尊心をくすぐってしまいました。これができるようになることが消防団にとって必要であり、高得点を取ることができる消防団が優秀であると誤認識してしまったのです。そして「これさえやってれば良い」的な思考が生まれ、消防団幹部の「考える力」を低下させてしまっているのです。

 

 

5.機械器具の進化を狂わせた

 道具は進化していくものです。その道具を作成しているところが、使っている人からの意見を反映させていきます。この消防団が使用するポンプの製造メーカの説明分には下記のように書かれているものがあります。

操法大会に最適なモデル
ハイパワーで定評のある〇〇をベースに、〇〇を搭載したことで吸水時間を短縮し、操法タイム向上に貢献します

操法大会では一発の速さや安定性が求められますが、実際の火災では耐久性、持続性が求められます。

メーカーが悪いわけではありません。使用者(消防団)が望んだから、このような仕様になってしまっているのです。

操法大会によって、消防団が扱う機械器具の求めるべき「誰でも簡単に安全に扱えて壊れにくい」という進化を阻害させました。

 

 

 

もしあなたが勤めている会社で、新しい事業として「ポンプで水を出す」という仕事がきた場合にどうやって従業員に教えますか?生産性や安全性を確立する為にどんなことをするでしょうか?

 

 

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「全国消防操法大会の廃止」
http://chng.it/Kx45cBjj 
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