長野県安曇野市は、安曇野市消防委員会という協議会を定期的に開催し、消防団員確保対策等の現状の課題について話し合っています。現状を赤裸々に語りつつ、どうしていくべきかを苦悩されている様子がよく分かります。
安曇野市消防委員会
https://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/4/10818.html
平成31年4月23日 第1回安曇野市消防委員会
-委員2-
明科は見てわかるように定員が割れている。団員1人探すのに何年もかかるような状態で、班長以上の人たちが辞めていくと、どんどん減っていく感じ。
今、実際にやっているのが、班長を辞めても団員で残ってくれとお願いして、次の人が入るまで残ってもらっている状態。したがって、1年間に4人も5人も入るということはまずあり得ない状態で、これから先どうなるかと心配になる。
先ほどの第6分団第1部から第4部の件は、第3部は山林が多く家がだいぶ少なくなっていて、人数がほとんどいない。どこかへ合併しなければいけないという話も出ている状態で、できたら第1部と第3部が合併できればいいと思う。
どうやって団員を増やすかということも考えなければいけないと思うが、まず消防団とはどんなものかを小さい子どもさん含め皆さんに知ってもらわないと、大きくなってから入ろうなんてことはなかなか思わない。小学校、中学校、高校向けに何か啓蒙活動ができたらいいと感じている。
もう一つ、消防団の活動を根本的に見直したらどうか。どうしても消防団というのは土日や夜に出る機会が非常に多くなっている。特にポンプ操法の練習など、毎晩という感じで一生懸命やっている。ただ、家族の方たちが本当にどう思っているかということを考えたら、自分も十何年もやってきたからわかるが、家にお父さんが不在という状態でずっとやってきた。そういう面で、奥さんたちはなかなか旦那さんを入れるという気にならないような気持になる。
それから家族の理解というのは大事なことだと思うが、ある程度は活動内容も少しずつ変えて減らすような形にしてやらないといけない。ポンプ操法の時期というのは一時的に活動が多くなるので、その時期に集中して団員の訓練などをやって、あとは年間数日という少ない日数の活動にすればいいと思うがなかなか難しい。
ただ団員を増やせばいいのか、ある程度統廃合させて大きい分団なり部にするか、少し減らしてもいいから大きめの方が活動しやすいのか、その辺がよくわからないため、皆さんのご意見もお聞きしたいと思っている。
-委員(団長)-
現状は皆さんの言うとおりで、どうやって解決しようかと悩む。私ども団の方も、分団長を初め、幹部の皆さんでどのようにして団員確保をするか。本当にきついが、皆さんやる気があるため、単に定数を減らすのは良くないが、現状でいくとどうしても減らしていかなければいけないと感じている。
今年の新入団員は32人だが、やめる人も多い。活動に対してはメディアにしっかりやられている。「家族、家族」といいことは言うが、はっきり言って家族は皆反対している。
言葉では確かに上手いことは言える。今回のポンプ操法の話題にも皆さん触れていただいて、辰野町消防団が出ないという話の中で、メディアがああいうことを言って全国的にも話題になっているが、安曇野市は昨年とほぼ同様なチーム数となった。そうなるには分団長に何回も会議を設けていただいて、家族とも話し合った。この平では有名な第4分団が今年出ないのはなぜかという話になっている。それはやはり選手が家族と話し合ったからで、出場したら大変な問題になるということにまで発展している。子どもを連れて出て行くというような話もあちこちで出ている。これをどうやって解決したら良いかと私も考えたが、安曇野市はエントリー制をやっているため、まだ救われているのではないかと思う。
他の市では、順番に回しているところもある。これをポンプ操法1つとって単に負担軽減として辞めてしまうと、消防団活動はそれでいいのかという話になってしまう。
私ども団は、今期は活動の負担を減らそうと考えて会議も減らしている。時間が少ない中で活動方針を決め、分団長は分団の代表として確実に会議に出ていただいて、団員のことを考えてもらっている。
また、ポンプ操法大会に出るという分団にも違うところから声が入る。いろんなメールや投書があった。分団長に「本当に大丈夫なのか」と聞いたら、「大丈夫だ」ということだったが、本当に勝つことを目的に出るのではないのかというところまでやった。
確かにポンプ操法の負担は大きいが、それを全部なくすと消防団活動って何だという話にもなる。
他に地域の自主防災訓練などもあるが、消防団が参加して消火栓の取り扱いなどいろんなことをやっている。それもはっきりいって負担に感じている。市の防災訓練をやっても役員しか来ていない。根本的にそういうことを見直して、災害に対する防災ということをしっかり考えていかないといけない。
今、団は本当に一生懸命やっていて、人数が少なくても何とか活動している。今の若い人は、お酒は嫌だと態度がはっきりしている。嫌なことは嫌だ、出来ないものは出来ないと、上の者に言われたらやるという人がいない時代になっている。ただ、私が団員に言っているのは、横のつながりだけでなくて、縦のつながり、人とのつながりを大事にしようじゃないかという話の中で活動させてもらっている。
現状ではどんどん団員が減っていて、新しい団員が入らないということではないが、本当に厳しいと思う。今の団員が辞めるなら、誰か入れて辞めろみたいな話のところもある。団員の勧誘にお伺いしても、親御さんがだめだと会わせてくれない。結局そうやっていると、団員確保どころではなく、ポンプ操法もだめになってくる。消防とは何かというようにどんどんマイナスのイメージになってしまう気がする。
団員定数の見直しについて、確かに人口は減っているが、もし減らすのであれば、第2案でやってもらえればありがたいと思う。ただ、団員の皆さんは本当に一生懸命やっているため、単に負担軽減とかではなく、出動体制を見直すなど考えていきたい。
昨日は堀金で火災があった。平日昼間の火災はどうしても出動人数が少ないため、隣の三郷から出そうという話まで出ていた。私どもの第1ブロックや第2・第3ブロックなど全部が出動するということではなくて、1次と2次で分けて見直して、負担軽減させて出動している。火災だけの話だとそうだが、大規模災害になったときの消防団の役割というのも今後考えていかなければいけないと思う。
団員はしっかりやっているということを皆さんに報告する。本当に素晴らしい活動をしていると思う。メディアがいろいろ書いてくれるため頭に来ている団員もいる。ポンプ操法の件もちょっとメディアに載ったら、最終的に中止みたいな感じで、箕輪町もそんな形になってしまったが、今それがすごく問題になっていて、団員のモチベーションも下がっているし、何よりも安曇野市消防団の分団や部の仲間割れもあって、どうやって修復したらいいか。その問題で家族から「消防には行ってはいけない」など言われると辛くしょうがないが、何とか解決していかなければ消防団がなくなってしまうため、もっといい案を何とか詰めていければと考えている。
また、各地区へのPR活動などは全部やめて、防災広場を使って防災祭りなどをやったらどうか。そうすれば1回で済むし、団員の負担もだいぶ減っていく気がする。
令和2年11月10日 第3回安曇野市消防委員会
-委員(団長)-
皆さんのご意見を聞いた。消防団は団員確保委員会を立ち上げて、団員の気持ち、今どうなっているんだということを吸い上げて、今後どうしたらいいということで、活動案を話し合っている。PRはこれ以上何をやったらいいのかというくらいやっている。具体的に言えば、ホームページなどは閲覧者が自分から閲覧しにいかなければならない。団としては、行政の皆さんに長居していただきたい。当然お金がかかるPRもあるが、それをどのようにやっていったらいいかという相談はしている。
また、松本消防協会の3市5村として、FM長野で毎週金曜日にラジオ放送をしている。松本消防協会としても団員確保は悩みであり、とにかくPRしている。ただ、どうしてもPRだけじゃ足りない。全力は尽くしているが、全国的にも長野県もそうだが、若者の気持ちが変わってきている。
たしかにポンプ操法はきつい。でも私の考えとしては、災害が起きたときのために、必要な訓練だと思う。ただ、それを言ったとしても、そんなものはいらないんじゃないかと話す団員もたくさんいる。それを今悩んで、県の消防協会も県のポンプ操法大会をどうしたらいいかということまで対策委員会を立ち上げてやっている。だが、若い人たちの気持ち、ただ集まって、時間を割いて、何かを得て、かっこいいとか身についたならいいが、今の若い人たちに聞くと、休みが欲しいとのこと。仕事をして、その後に消防へ出ていかなければいけない。その気持ちを解くにはどうしたらいいか。
分団長をはじめ、団員の皆さんに相談しながらやっているが、なかなかいい案が出てこない。私から下げるのでなくて、団員の皆さんの意見まで聞くようにしている。OBの皆さんならわかると思うが、昔のイメージでは、団長というものは雲の上の人間だというくらいの感覚で消防団をやっていた。それが今は全然通用しない。けじめをつけるところはつけるが、新入団員の皆さんの声を聴くなどして、きついんだよねとか、僕たちお酒飲めないんだよねとか。お酒は好きな人がいれば、嫌いな人もいる。
詰所でお酒を飲めとかこちらは言っていない。それが輪になってくればいい。そういういい雰囲気の分団をつくれば、何とかなると思う。
また、ある地区へ団員の勧誘に行ったら、お父さん、お母さんたちが出てきて門前払いになる。そういうのがずっと続いていて、勧誘に行くのは嫌という形。私たち世代の子どもたちは本当に意見を聞いているのか。消防団はこういうふうにやっているが、皆さんはどうなんだと、もう一度いろいろな地域の若者の気持ちを聞いてもらい、言ってもらいたいと思う。
区長会とかはもう無理だと思うが、私が地元で勧誘に行ったときは、区長、代理、皆さん全員で5,6人いて、勧誘したがだめだった。そのときは印鑑をつくが、活動には出てこない、そういう人が多い。若者が仲間同士で誘い合うとかもやり尽くしているくらい。
以前にも言ったように、機能別のことも考えていかなければいけない。現在の団員に長く居てもらうにはどうしたらいいか。それには、報酬を上げるなど、いろんなことをやってきた。でももう頭打ちで、違うPRの作戦があればと思っている。限界ということは言いたくない。何とか団員確保に努めたいと思うが、現状はそんな形で、PRはこれ以上ないというくらいやっている。
-委員(団長)-
ポンプ操法に関してはいろんな意見がある。県協会がポンプ操法の対策委員ということで、昨年と一昨年、ポンプ操法大会の可否を新聞などで取り上げられた。
県協会の中では辞めるべきではないという話になった。
ただ、無理してやらなくてもいいのではないか。他市は違う方法で訓練をやっていて、競技をやる分団はやればいいが、団としては代わりの訓練をしているという形。
市の消防団には出場するかしないかのアンケートをとって、押しつけでなく、必ず団員の意見を聞くようにしている。県や全国を目指す分団は、家族の負担が非常に大きいということを聞いている。本当にそれでいいのかと確認までして操法をやっていただいた。
あと、ある分団では、訓練の一環としてタイムで競うのではなく、操法をやらないとポンプの扱いはできないと言っている。また、詰所に集まって、定例会などで訓練を行っている分団もあり、団員はポンプを動かすなど各自で訓練をしている。
ポンプ操法は今後、県協会もやる方向ではいるが、一番ネックで負担が大きい。なぜやめるわけにいかないかといえば、先ほどの火災もそうだが、今年度の明科や穂高のように水害があったときポンプを使ってくみ上げる、そして堤防の中に返すという作業というのは、普段から扱っていないとできない。一度扱っただけでは自信がなくてできない。ポンプ操法は何回も同じことをやっているため扱えるようになる。そのため、ポンプ操法をやっていれば実際の災害で生きるが、なかなか統一はできない。
トップを目指して訓練する分団や、災害時に備えて訓練する分団もある。毎日やっているところもあるし、トップを目指さなくても週に2回やる分団もある。それについては、本当に負担だったらやめてもいいと言っている。正副団長でそういう話をしている。
ポンプ操法に出場しない分団に関しては、どういうことを訓練するかというレポートをもらった。規律訓練や取扱い訓練を行うなどいろんな考えを持って団員はやっている
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