海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

操法大会はどうなる?~消防庁の検討会の行方~

令和2年12月24日から始まった「消防団員の処遇等に関する検討会」ですが、令和3年5月より後半戦となり、大きく下記の議論がされています。

  1. 消防団の存在意義・役割の再整理 
  2. 消防団自身のあり方の見直し 
  3. 消防団に対する理解の促進

 消防団自身のあり方の見直しの中では「操法大会のあり方の検討」が大きくクローズアップされており、これは消防団員等の多くの皆さまが操法大会の問題について声を上げた結果であり、今後の検討会での注目の一つですね。

今回のブログでは、第5回、第6回の議事を整理しながら、操法大会について検討会の委員の皆さまがどのように考えているのかを見ていきたいと思います。

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検討会の後半戦に入り、今後の議論の整理をした資料(第5回までの議論のまとめ)がありますので、見てみましょう。

https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-86/02/shiryou3.pdf

 

この資料の中で操法大会について下記のように書かれています。

○ 現在、多くの消防団の訓練の中心が、操法大会に向けた訓練となっている。
○ 操法は、消火活動における基礎的な動作をまとめたもので、消防団員が火災現場の最前線で安全に活動するためにも重要なものである。
しかし、「操法大会に参加するためだけに、火災現場の実情に合わないような訓練を過度に実施する消防団も少なくなく、このことが消防団員の負担となり、幅広い住民の消防団への参加の阻害要因となっている」と指摘されている。

【火災現場の実情に合わないと指摘されている訓練の例】

  • ポンプ車のドアを一斉に閉める、集合時に全隊員のかかとを揃える等、団員同士の動作を過度に合わせること
  • 計測タイムの短縮だけを過度に追求すること
  • 1番員なら1番員だけ、2番員なら2番員だけと、限られた役割のみを過度に反復すること
  • 選手として操法大会に参加しない団員は、見取り訓練や補助業務のみ実施すること など

○ そのため、操法の訓練を実施するにあたっては、消防技術の習得といった操法本来の意義を改めて各消防団・分団に周知・徹底するとともに、過度に操法大会を意識した訓練についてはこれを見直し、大会に出場したい人だけが参加するなど、適正化を図ることが必要ではないか。

○ また、近年の災害の多様化を踏まえると、風水害や地震、豪雪等、火災以外の災害に対応する訓練を優先的に行うほうが、地域防災力を高める観点から適切であるという地域も存在すると考えられる。

○ そうした地域については操法の訓練に拘るのではなく、大項目Ⅱでの議論を踏まえ、各市町村で定めた消防団の役割を十分果たすために、第5回検討会で紹介した訓練の事例も参考にしながら、より地域の実態に即した災害現場で役立つ訓練の導入について、積極的な検討を各市町村・消防団へ促してはどうか。

 

検討会の各委員さんの意見を見てみましょう。

■山内委員 (全国消防長会総務委員会委員長(京都市消防局長))

操法については、現場に即した操法(になっているのかという点)と、負担の大きさが問題になっている。負担の大きさについては議論が少なかったが、タイムを過剰に意識していることや、訓練期間が非常に長いことなどの課題がある。若い人から負担について意見が出ているのであれば、そこはしっかりここで議論しなければならない。

 

■太田委員 (東伊豆町長) 

今の操法大会については、これでいいのかなという思いがある。2か月くらい練習をするのは大変であろうし、タイムを重視する練習で怪我も多く、団員の負担が大きい。操法大会はある程度重要性はあるが、時代にあった大会をやるべきである。3年前から団と話し合いをしてきたが、大会ではなく装備に予算を回したいこと、また、大会が団員確保のネックになっていることから、今年から操法大会への参加を中止した。

 

■秋本委員 (公益財団法人 日本消防協会会長) 

今回の操法大会の検討過程で運営委員会や審判員に意見を伺い、現場の動きに直結する基本動作は変更しないが、いかにもパフォーマンス的な、あるいはセレモニー的な動作というものについては将来にむかって見直す方向となった。今年も中止となってしまったが、操法大会をなんとか続けていきたいと思っている。

 

■花田委員 (神奈川県くらし安全防災局長)

神奈川県では火災出動が減っている一方、災害対応が増えている。近年も台風による水害を受け、避難の呼びかけやお年寄りの救助を行っており、こうした活動を見て、地域の方々に初めて消防団の重要性が認知されている。そういった事情もあるため、神奈川県内の市町村でも、火災防御のために開催される操法大会について温度差があるのが実情。

 

■小出委員 (千葉県市原市長) 

操法大会については、市原市においても、分団ごとでかなりの温度差がある。消防局としても消防団に対して1年おきに行うのはどうかと提案したが、団での議論の結果、引き続き毎年行うこととなった。

 

■石橋委員 (公益財団法人 千葉県消防協会会長)

操法の見直しの中で、競技用の操法と実戦用の操法を分ければ、加入促進がしやすくなるのではないかと思っている。

 

■安達委員 (鳥取市消防団女性分団団員) 

操法を経験したことでメンバーとの間に大きな絆が生まれたと思っている。なくすのではなく、団員の負担がかからない方向で見直しを行う必要があると感じている。

 

■太田委員(代理)(東伊豆町長) 

操法大会の在り方が問題視されているところであるが、操法そのものは消防団員の安全かつ迅速な活動に資するという点で大切であると考える。しかし、大会のためだけに数か月にわたり時間が割かれるとなると、様々な活動を必要としている中で、果たしてそれでいいのかという議論が出てくる。操法も含めてよくないという意見も多く、次世代の子どもたちは操法があるのなら、消防団はきついところなのでやめようとなってしまう可能性もあるので、そのあたりの検討も必要ではないかと思っている。

 

第6回(令和3年6月15日)の様子を見てみましょう。

全国消防操法大会の主催者である「日本消防協会」会長の秋元委員はどうしても操法大会を続けたい様子が伺えます。その続けたい理由は果たして消防団の為なのでしょうか?

https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-86/03/shiryou1.pdf

【第6回議事録(議事概要)全9ページ】

https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-86/02/gijiroku.pdf

【第6回議事録 全35ページ】

 

■太田委員(代理)(東伊豆町長) 

 私たちの地域で支部を作っているが、今回規約改正が行われ、操法大会に参加せず、(操法大会に特化した)指導員を出さない団体は、支部から脱会させられることとなった。そのように操法大会が全てという考え方がまだ先行している。操法の意義は分かるので各団で操法をやりつつ、署隊との連携訓練、地域との連携訓練を重要視した体制づくりといったことを見直ししていただければと思う。
 操法については、全国消防操法大会を運営している日本消防協会と消防庁から要綱が来ており、それに基づいて各消防団が訓練をしている。まずは日本消防協会と消防庁において全国消防操法大会の在り方というものをきちんと検討していただき、大会の必要性や運営の在り方を議論していただきたい
 消防団は色々なところで重要性が増している。色々なものが要求される中、消防団に何が必要なのか、どういうことをやったらいいかということを、もう少し消防庁なり日本防協会も含めて市町村へ明確な指針を出していただければと思う。そうすることで、操法大会中心の現状から、体制・訓練とも意識が変わってくると思う
 消防団に入るメリットがないという意見がよく出ている。当町では、消防団員にも技能を習得していただくことが災害時の防災対応の応急復旧や救助活動に資すると思い、技能習得の要綱を作成し運用している。こうしたことも全国的に進めていただきたい。
 事務をやっている中で一番気になっているのがハラスメントに関して。パワーハラスメントの問題がまだ消防団の中にあるかと思っている。こうしたことについても記述をしていただきたい。

 

■秋本委員 (公益財団法人 日本消防協会会長) 
 少し率直な感想を申し上げさせていただいたらと思っております。団員確保が困難となっている事情につきまして、消防団側の問題がいろいろ取り上げられておりますが、言葉を選ばずにあえて申し上げますと、時代遅れの運営がされている、あるいは、現場活動の役に立つと思えないようなポンプ操法の訓練の負担などが重いといっ
たようなことが強く指摘されているように思いますけれども、団員確保の最大のネックがここにあるというような印象を与えているようなんですが、こういう意見があるのでしょうけれども、これをそのまま受け止めて本当にいいんだろうか。これは消防団の皆さんにとって基本的な大事な問題であろうと思うんですけれども。

 と申しますのは、消防団が団員の安全を確保しながらその使命を果たしていくためには、組織としての一体性を確保しながら、そうした訓練を重ねて、技術的なことを体で覚えるくらいにしておかなければ危険だといったような思いから、御苦心、御苦労なさっている消防団の方々がおられると思うんですけれども、そのような方々は今回のこの御指摘というのをどう受け止めておられるだろうかというようなことはちょっとまだ気になります。
 また、操法の問題点が指摘されていますけれども、言わば命がけといってもいいような真剣なお気持ちで努力を積み重ねてきた方々がたくさんおられますけれども、どう受け止めておられるだろうか。操法についていろいろ御指摘があるんですけれども、そういういろいろな御意見があるということを踏まえながら、今回、前年も今年も、全国大会は結果的には中止ということにいたしましたけれども、その運営委員会や、あるいは、審判員の皆様とも御相談をしまして、操法については、現場活動に直結する操法は従前どおりとする。パフォーマンス的な、あるいは、セレモニー的な動作については、将来の見直しに向けて検討するという方針を、協議をして定めまして、そして、関係の方々などによります協議を近々進めていこうかというようにしております。

 

東伊豆町は、操法大会の参加を取りやめたことで県消防協会の支部から脱退させられたようです。消防協会の存在意義とは何なんでしょうね。操法大会を開催することが消防協会の役目なのでしょうか?

 

日本消防協会会長の秋山委員は、この状況でもなお、「団員確保の最大のネックがここにあるというような印象を与えているようなんですが、こういう意見があるのでしょうけれども、これをそのまま受け止めて本当にいいんだろうか」、「運営委員会や、あるいは、審判員の皆様とも御相談をする」などと発言されていますが、消防協会が声を聞く必要があるのは「全国の消防団員」からです

将来の見直しに向けて検討する」と発言している時点で、なんとかこの検討会をやり過ごして全国消防操法大会を継続させようとしている思惑が見て取れます。

 

 

この秋山委員の発言に対して、全国消防長会総務委員会委員長(京都市消防局長)の山内委員は、以下のように消防協会に対し苦言を呈しています。

■山内委員 (全国消防長会総務委員会委員長(京都市消防局長)

 基本的には訓練が消防の基本である。その中で操法がなぜ取り沙汰されるかは、我々常備消防の隊員は、操法を最初にやり、色々な訓練をしていくが、消防団が操法を通じて基本を学ぶ鍛える部分と、大会に出ることによって結束力や団結力、達成感、人を成長させるという競技の目的もあるからだろう。操法を命懸けでやっておられる意見もあるが、しっかり協議目的を踏まえて見直しをしてほしい


 東伊豆町の竹内課長の発言と同感だが、国が改めて操法大会の意義等を周知徹底するということだが、それだけで本当に各自治体が改善できるのか。消防庁、日本消防協会が全国消防操法大会をまずは議論していただき、そこからこう変わったと全国に言っていただくのがありがたい

 

 

今、日本消防協会で見直されているということであれば、根本的な問題も含め検討していただき、本当にそれが改善できたかということを、2、3年後に必ず見直すということを検討していただく必要がある。

 

 

 検討会の議論の一つである、消防団の存在意義・役割の再整理では、「消防協会の存在意義」についても検討が必要ですね。

 

 

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