海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

滋賀県 甲賀市②

甲賀市  令和3年9月の定例会では、総務常任委員会が現役消防団員から吸い上げた意見・提言と、過去に実施した甲賀市消防団意識調査を基に、団員の最大の関心事と捉えられてる「ポンプ操法大会」についてなど、消防団が現在抱える諸課題とその対応策について質疑されました。

 

f:id:KaibaraTomoaki:20200813144604p:plain

甲賀市  令和3年9月 定例会(第5回)  09月01日-03号

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/koka/MinuteView.html?council_id=106&schedule_id=4&is_search=true

 

-議員-

我々総務常任委員会では、本年5月18日、午後7時30分から、まちづくり活動センター「まるーむ」において、「消防団員の皆さんと語ろう」とのテーマで、第10回議会報告会・意見交換会を計画いたしました。
 出席いただける消防団員--各方面隊の幹部クラス、中堅クラス、若手クラスと女性消防隊--計21名の御出席の御了解も頂き、準備万端、当日を期待したところでありましたが、新型コロナの感染拡大が収まらないということで、残念ながら議会報告会・意見交換会は中止となりました。
 本来ならば、中止ということで、ここで終わりとするところでありますが、当委員会では出席予定者の取りまとめや会議の参考資料の事前送付等、様々な事前準備を計画的に行ってきた中にあって、「このまま終わるのでは、もったいない」との意見が出て、出席予定者へ「消防団が現在抱える諸課題とその対応策」というテーマで御意見、御提言、御感想等を頂き、その内容を委員会・執行部とも共有し、今後の改善に向けた一里塚にしたいとの思いから、その一環として、本日、委員会を代表して、頂いた御意見・御提言を中心に、当市消防団が抱える諸課題とその対策について「現役消防団員から頂いた意見・提言から」と題して、大きく七つのくくりで、本来は一問一答で行いたいところでありますが、委員会代表質問には一問一答方式が許されておりませんので、分割方式にて、市長並びに担当部署にお伺いをいたします。


 最初の大きなくくりは、今回頂きました団員からの御意見にもありましたが、平成28年に実施されました甲賀市消防団意識調査(以下団員調査と言いますが)の設問で「あと何年ぐらい消防団員として活動したいか」との問いに、30%近くの団員が「今すぐ退団したい」と、私もこの回答にはいささか驚いているところでありますが、最近の風潮等を考えますと、さらに、この比率は高まっているのではないかと推測するところであります。
 そこで伺います。この団員調査の回答「今すぐ退団したい」、30%について市長の御所見をまず冒頭にお伺いをします。

 

 二つ目の大きなくくりとして、消防団員に対する当市担当部署の立ち位置、関わり方、そして、役割と消防団員数の現状並びに消防団組織再編の方向性等について確認をしておきたいと思います。
 以下、3項目について伺います。
 まず、消防団組織に対する当市担当部署の立ち位置、関わり方、その役割について基本的な考え方を確認しておきたいと思います。担当部署に伺います。
 次に、当市消防団の条例定数とその根拠、現在の実団員数、同規模他市町と比較した場合の団員数の規模実態について担当部に伺います。
 3点目、甲賀市消防団再編計画に基づく消防団組織再編の方向性、目指す再編の時期について確認を込めて伺います。
 当市では、本年3月に甲賀市消防団再編計画を策定されました。消防団員の確保が難しくなる中で、消防団の置かれている環境の大きな変化に対応するために策定されたものと理解をしております。
 そこで、改めて確認の意味を込めて本計画について伺いますが、本計画で示す団員の規模、適正団員数の考え方も含めた消防団組織再編の方向性と目指す再編の時期について、担当部に伺います。

 

 次に、大きなくくりの3点目、いよいよ団員の皆様から頂きました意見・提言を基に担当部のお考えを伺ってまいります。
 平成28年度の団員調査、今回の意見・提言から多くの団員から寄せられた団員の最大の関心事と捉えられており、新型コロナが拡散する中で、昨年から2年連続で中止となっていますポンプ操法大会について、以下2点、まずお伺いをいたします。
 まず、市として現在行われていますポンプ操法大会が抱える課題について、市の所管部署としての御認識を伺います。


 二つ目ですが、これから消防団員の皆様から頂きましたポンプ操法大会に対する様々な御意見・御提言を紹介させていただきます。まずは、共有する意味でお聞きをいただきたいと思います。

  1. まず、団員からの主な意見として、ポン操は、ほとんどの団員にとって最大の関心事である。
  2. 消防技術の向上に一定寄与してきた反面、団員への負担が大き過ぎる。団員調査にも、不満に思うことにポンプ操法大会の負担が大きいことの回答が多く表れている。早々に改善すべきである。
  3. 長期間にわたる早朝・夜間練習は、仕事上も家庭面においてもさすがに厳しい
  4. 新入団員勧誘活動の弊害になっている。

 それから、あと主な提言と感想としまして、

  1. ポンプ操法大会をただ単にやめる、廃止するのでは、基本的技術の習得、特に有事における団員の安全を担保する観点から懸念があるものと考える。やめる場合も、それなりの工夫が必要である。
  2. より実践的な競技大会参加の在り方を検討すべき。
  3. 従来の大会方式を継続するのであれば、パフォーマンス的な要素を極力排除し、簡略化、負担軽減の方法を検討するべき。
  4. 特に、近年、競技色が強くなった県大会への参加は、参加の方法も含めて検討するべき。
  5. 県大会については、県消防協会に大会廃止も含めて求めていくべき。従来どおりの大会が継続するのであれば、甲賀市として大会への参加を見送ることも選択肢に検討すべき。
  6. 甲賀市として参加するのであれば、サポート要員も含め志願制にすればよいのでは。
  7. 総訓練日数や訓練時間数に上限を設け、団員負担の軽減を図るべき。
  8. 長期の早期練習や時代にそぐわない度を超えた厳しい指導については改めるべき。
  9. ポンプ操法大会に参加しなくても、各方面隊、分団、班単位で定期訓練を行えば実践的な消防技術は十分習得可能である。
  10. 甲賀市消防団は、毎年、優秀な成績を残しているのでプレッシャーを感じながらの大会参加となっている。精神的な負担が重い。
  11. これは入団歴27年のベテランの団員さんからの御意見ですが、消防団活動を通じて学べたことは一生の財産になっている。ポンプ操法大会においても、厳しい訓練の成果が現在の自信につながっている。このような経験を後輩団員に継承していくことの難しさを痛感している。
  12. 今までポンプ操法大会をはじめ、団活動に積極的に取り組み実績を残してきた団員が幹部団員となっており、若手は従来のやり方を否定しづらい閉ざされた組織となっている。
  13. ポンプ操法大会も含め、消防団の在り方を考え必要に応じ改革していくためには、消防団の特性を踏まえつつ、開かれた議論を継続的に行うことが大切であると考える。


 以上、少し要約した部分もありますが、ポンプ操法大会に関して以上の多方面の様々な御意見・御提言を頂きました。
 そこで、今回頂きました御意見・御提言に対し、市当局として消防団に対し、ああしてくれ、こうしてくれとはなかなか言いにくいところがあろうかと思いますが、頂きました御意見・提言に関して担当部の所感をお伺いいたします。


 次に、頂きました御意見・提言を基に総務常任委員会から一つ目の提言をしたいと思います。今回、頂きました団員からの提言にもありますが、消防団の在り方を真剣に考え必要に応じて改革していくためには、消防団の特性を踏まえ開かれた議論を継続的に行う場の必要性が提言されています。
 そこで、今回、消防団から頂いたポンプ操法大会に関する改善提案内容等の諸課題を共有し、協議・検討する場の新たな設置と団員世代間の意識差等の改善を促すことを含めた新たな仕組みづくりを総務常任委員会として提言したいと思います。市長の御所見をお伺いします。

 

 次に、四つ目の大きなくくりであります。
 頂いた御意見・御提言を基に、新しい消防団員の確保の観点からお伺いをいたします。新しい団員の勧誘活動を弊害する要因として、ポンプ操法大会に関する課題のほかに、若い人が地元に住んでいない、市や自治体が団員確保の活動にもっと協力してほしい、一度入団したら自分が後任を探すまでなかなか退団できない、家族や職場の理解が得られない等、様々な御意見を頂きました。
 そこで伺います。新しい団員の勧誘活動を阻害している要因認識について、担当部にお伺いをいたします。


 次に、今回、団員から頂いた一つの提言に、消防団員任期制の導入団歴が長期化している団員に対する意識調査の要望があります。退団可能な時期が明確であれば、新しい団員確保の活動もやりやすいとの御提言でありました。担当部の御所見を伺います。


 次に、団員の処遇改善の観点から伺います。
 今回の御意見として、次のようなものがありました。
 「地域防災のためとはいっても、不満が絶えず渦巻いているような団体・組織に誰が入りたいと思いますか」との問いかけであります。団員調査でも明らかですが、不満要素を取り除く一手段に、費用弁償、出勤手当等の増額という提言が出ています。当市の団員に対する費用弁償の実態と県内他市町との比較、国の交付税基準額--1回7,000円と伺っておりますが--の支払いの実態との乖離について、担当部に伺います。

 

 次に、消防団活動に対する市民への広報の観点から伺います。
 今回、消防団に対する市民の関心・意識がまだまだ低く、活動実態が正しく伝わっていないとの意見も頂きました。消防団活動の市民への広報に対する担当部としてのお考えをお伺いします。


 次に、委員会から二つ目の提言をしたいと思います。
 今回、団員から「消防団の活動を正しく市民に伝えてほしい」との意見を多数頂きました。市民の一部には、消防団イコール飲み会、懇親会等が多いとの古きイメージをいまだお持ちの市民も多いと伺っております。
 そこで、消防団の活動を広く市民に広報するために、市の広報紙「広報こうか」の一部に「甲賀市消防団コーナー」を常設することを総務常任委員会として提言をいたします。担当部の所見を伺います。


 次に、くくりの大きな五つ目は、女性消防団員の増員について伺います。
 消防団は男性のもの、まだまだ市民にはこの考え方が底辺にあるのではないでしょうか。しかし、少子・高齢化が進む中、全人口の半分を占める女性の団員を増やす試みなくして未来の消防団組織の維持はあり得ないのではないでしょうか。
 消防団活動は、消火活動、いわゆる力仕事のみならず、避難誘導や情報収集、防火啓発、広報活動等、多岐にわたります。それゆえに、性別に関係なく活躍できる、むしろ女性がより積極的に活躍できる分野があるのではということはありませんでしょうか。
 そこで、確認の意味も含めまして以下5点お伺いをいたします。

  1. 当市の消防団条例では、団員資格としての性別はどのように定められているのか、担当部に伺います。
  2. 当市の女性消防団員の現状はどのようになっているのか、その実態について伺います。
  3. 政府は、令和8年度末までに女性消防団員数の占める比率目標を10%に設定したいと伺いました。甲賀市消防団として、女性消防団員数の具体的な目標を定めることについての考え方を担当部にお伺いをいたします。
  4. 今回頂きました団員からの御提言の中で、消防団は男性の役割等の市民意識の変革や女性団員を迎える環境の整備、そしてまた広報の必要性を頂きました。
    そこで伺います。当市の女性消防団員の増強を阻害している要因について、担当部の考えを伺います。
  5. 次に、同じく今回頂きました御意見にもありましたが、本年3月に策定をされました甲賀市消防団組織再編計画の中にも女性消防団員の確保の重要性については述べられているものの、具体的な増強施策は全く触れられておりません。再編計画に基づく女性消防団員増強の具体策について、担当部に伺います。


 次に、委員会として三つ目の提言をしたいと思います。
 さきの質疑とも関連をいたしますが、国が令和8年度女性消防団員の比率目標を10%と定めているということから、甲賀市消防団としても、ぜひ女性消防団員数の具体的目標値の設定検討を総務常任委員会として提言をしたいと思います。市長の御所見を伺います。


 次に、大きなくくりの六つ目は、今回、団員の皆様から頂きました質問に出てこなかった、今までの質問に出てこなかったその他の様々な貴重な御意見・御提言を市側に伝え共有する観点から、主なものを御紹介させていただきます。先ほどの質問と一部重複する項目があるかもしれませんが、お許しを頂きたいと思います。

  1. 消防団は保守的で変化を望まない組織で自立性の高い組織であるが、最近の若い世代の意識はかなり変化している。今の時代に即し、時代の流れとニーズに合った幹部研修を実施してほしい。
  2. 自治体・自治区も巻き込んだ新入団員勧誘ができる協力体制を市が整備してほしい。
  3. 団員、その家族に対する優遇措置のさらなる充実を図ってほしい。
  4. 毎月の点検日を休日にしてほしい。
  5. 勤務先の関係で本来の消防活動に参加できない、特に平日日中の火災等、そのような団員の増加と団としての士気の低下を憂慮している。
  6. 今までポンプ操法大会をはじめ様々な団活動に積極的に取り組んで実績を残してこられた団員が幹部団員となっており、従来のやり方を我々若手は否定しづらい組織となっている。これは、良い面でもあり、今後を考えると弊害となる面でもある。

 このような様々な意見を頂いております。ただいま御紹介した意見に対し担当部の所感を伺います。

 

 最後に、今回の委員会代表質問の総括の意味を込めて市長にお伺いをしたいと思います。今回、残念ながら議会報告会、あるいはまた意見交換会は中止の運びとなりましたが、その副産物として参加予定団員の皆さんから多くの貴重な御意見・御提言を頂きました。新しい団員を勧誘していただくのに大変な苦労をいただいていることや、今後、団員の確保に向けてそれぞれのお立場で御心配をいただいていることが改めて浮き彫りとなりました。
 最後に頂きました様々な御意見・御提言に対し、市を代表されます市長としての所見と、新しい消防団員勧誘活動も含めた、これからの甲賀市消防団の在り方について、今回の委員会代表質問の総括として市長のお考えをお伺いをしたいと思います。
 以上、よろしくお願いをいたします。

 

 

-市長-

 まず、甲賀市消防団意識調査において、30%近くの団員が「今すぐ退団したい」と回答されていることについてでございます。
 危険が伴う火災現場などでは、消防団の団結力、また機動力が非常に重要であります。この組織を維持していくため、日頃から団長以下幹部の皆様方、大変な御腐心をいただいている中において、そうした御意見があることは大変重く受け止めております。
 この調査の背景には、時代の変化とともに遠方に通勤をされるサラリーマン団員も多くなってきており、団員の皆様の中には、地域のため、ひいては甲賀市のために、高い志で特別職の地方公務員としての消防団活動の責務を果たしてはいきたいものの、経済状況が大変不安定な中でのお仕事、共働き世帯が増えている中での家庭での役割、プライベートの在り方が時代の流れの中で変化をしている中で、どうバランスをとっていいのか葛藤を抱えておられる実態があると推察をいたします。
 そうしたことから、まずは、やりがい、またモチベーション、消防団活動に対して持っていただくために、市民の皆様、事業者の皆様の感謝、また支援をさらに高めていくことも重要であると考えております。
 今後は、市といたしましても、市民の生命・財産を守るため地域防災の中核を担っていただいております、なくてはならない存在である消防団の支援の在り方、団員の皆さんとともに考えてまいりたいと思います。
 以上、答弁といたします。

 

-危機・安全管理統括監-

消防団組織に対する市担当部署の立ち位置や関わり方、役割についての基本的考えについてでございます。
 消防団の事務局となる危機管理課では、消防団の幹部会及び方面隊の会議や訓練の準備、並びに消防団車両の更新や消防団員の公務災害補償、また、費用弁償などの支払いに関する事務などを担っております。また、消防団の立場に立った調整役としても、適切な助言などを行っているところでございます。


 次に、当市消防団の条例定数と実団員数、同規模の他市と比較した場合の団員数の規模実態についてでございます。
 本年4月1日現在の本市の消防団員の定員は、消防団条例第3条で1,120人以内と定められており、実団員数は基本団員1,037人、支援団員24人、合計1,061人となっております。
 また、県内の人口が同規模の他市と比較いたしますと、東近江市の消防団では、条例定員は910人以内で実団員数は826人とお聞きしております。このことから、本市より200人程度、東近江市では団員規模が小さくなっております。
 そのほか、本市に隣接いたします三重県の伊賀市の消防団では、条例定員が1,450人で実団員数は1,409人とお聞きしており、本市より300人程度、団員規模は大きいものとなっております。また、同じく三重県の名張市の消防団では、条例定数が500人で実団員数は428人とお聞きしており、本市の半分以下の団員規模となっております。
 このような状況から、同規模の他市の消防団であっても、地形や道路網、また、常備消防の状況などから、その団員規模には大小の違いが出てきているのではないか考えております。
 また、令和2年版の総務省消防庁が取りまとめました消防白書では、全国の消防団の実団員数は年々減少しており、令和2年4月1日現在で81万8,478人となっており、前年より1万3,504人減少している状況と報告されております。
 そのような中で、本市といたしましても、団員の継続的な確保及び災害時の即時対応力の維持・向上を図るため、本年4月1日より、一度退職された団員の方々に御協力をいただき支援団員制度を導入したところでございます。


 次に、甲賀市消防団組織再編計画に基づきます団員規模も含めた消防団組織再編の方向性と目指す再編の時期についてでございます。
 昨年度策定いたしました甲賀市消防団組織再編計画では、団員規模については、現在の団員の条例定員を令和10年度までの第1期は維持・継続していくこととしており、その後の方向性については、第1期中のできる限り早い段階で示してまいりたいと考えております。
 また、第1期中であっても、地域の実情などを踏まえて班の再編などがどうしても必要となってきた方面隊・分団については、地域の消防力や防災力などへの影響も含めて幹部会や検討委員会で十分検討し、必要な見直しを行っていきたいと考えております。


 次に、ポンプ操法大会が抱える市の課題認識についてでございます。
 消防操法訓練大会で披露するポンプ操法は、消防団員が火災現場で早く、安全・確実な消火活動を行うための基本動作であり、士気、規律、迅速な行動とチームワークなどが求められ、大会に出場される班は少しでも上位入賞を目指し、数か月前から厳しい練習を重ねておられます
 課題といたしましては、この大会までの長期間にわたる練習でけがをする危険があるとともに、団員の仕事や家庭にも負担をかけているといった声や、操法の動作全てを火災現場で行うものではないいった声など、様々な御意見があることは承知をいたしております。


 次に、今回、現役の団員から頂きましたポンプ操法大会に対する御意見・御提言に対する所感についてでございます。
 消防ポンプ操法大会については、消防団が、長年、誇りと情熱を持って取り組んでこられた消防団活動の柱でもございますが、時代に応じた必要な負担軽減などについては、今回の御意見・御提言からも喫緊の課題であると重く受け止めております
 また、消防庁と日本消防協会におきましても、本年に各都道府県の消防協会長宛てに全国消防操法大会の運営方針が出されており、操法の見直しの方向といたしましては、安全、確実、迅速な消火活動に直結する基本動作は維持しつつも、現場活動に必ずしも直結しない動作については見直しの検討を行う旨通知があったところでございます。
 これらのことからも、具体的な内容はこれからとなりますが、本市の消防団もポンプ操法全体の簡素化、所要時間の短縮に向けた必要な見直しに取り組むべきタイミングが来ていると推察もさせていただいており、事務局の危機管理課といたしましても団員の皆様とともに議論を行い、一緒になって考えてまいりたいと考えております。
 以上、答弁といたします。

 

-市長-

 ポンプ操法に関する改善提案内容などの諸課題を共有・協議・検討する場の新たな設定と新たな仕組みづくりについてでございます。
 消防操法訓練大会において披露するポンプ操法につきましては、組織としての規律、礼式、安全に活動するための器具の取扱い、消防団員としての基本を習得をし、また大会を実施し目標を明確にすることで団員の団結力を高めるとともに、有事の際の消火技術を高めるためのものであるとされております。
 そのような中で、全国消防操法大会を主催をする消防庁と日本消防協会におきましても、消防団員を確保していくため操法全体の簡素化や所要時間の短縮に向けたポンプ操法の見直し検討方針が示されました。
 このような状況も踏まえ、本市消防団においても、時代の流れに応じたポンプ操法や広く活動の見直しを協議、また検討をしていくために、現在、23ある分団ごとの分団長、副分団長、部長、班長の階級の団員の方からヒアリングを実施をいたしており、その意見を集約し、消防団幹部会や消防検討委員会にフィードバックをする予定になっております。こうした取組は、新たな仕組みづくりの一環になると考えております。
 今後も、委員会からの御意見を重く受け止め、団員の負担軽減や魅力ある消防団づくり、訓練の在り方も含め、広く団員から世代を超えて納得いく議論となるよう、消防団を管理する立場として私からも団長に伝えてまいります
 以上、答弁といたします。

 

 -危機・安全管理統括監-

 まず、新しい団員勧誘活動を阻害している要因についてでございます。
 平成28年度の甲賀市消防団員意識調査結果や、団員の皆様からの御意見・御提言にもあるように、入団希望を阻害している要因といたしましては、消防操法訓練大会も含めて消防団活動が大変であるという印象や、入団したらなかなか退団できないという印象が主な要因ではないかと推察をいたしております。


 次に、団員からの提言による消防団員任期制の導入と団歴が長期化している団員に対する意向調査の実施でございます。
 消防団員任期制については、全国的にも採用されている自治体は数少なく、団員としての活動期間の目安が定められる反面、交代する団員が確保できない場合には定数の確保といったことに課題もございます。
 また、御提言いただいた団歴が長期化している団員に対する意向調査の実施については、現在、23ある分団ごとにヒアリングを実施しており、参加されている分団長、副分団長、部長、班長の団歴の長い方々からの御意見もお伺いしておりますが、さらに団歴の長い方との議論を深めて、きめ細かな見直しにつなげていくことも大変重要であると考えておりますことから、幹部会や検討委員会で相談もさせていただきながら実施できますよう取り組んでまいります。


 次に、当市消防団員に対する費用弁償の実態と県内他市町との比較、国の交付税基準額と支払い実態の乖離についてでございます。
 まず、甲賀市の費用弁償の実態として、火災や風水害などの災害対応などによる出動については、1回当たり1,900円、訓練・研修会などについては、1回当たり1,600円を支給しております。
 県内他市町の状況でございますが、県が本年4月1日を基準に取りまとめた調査では、災害出動では、大津市、高島市、東近江市が1回3,000円で、県内で最も高い額となっており、逆に県内で最も低い額となっておりますのは、長浜市の1,300円でございます。
 また、訓練では、東近江市、湖南市、日野町が2,000円で、県内で最も高い額となっており、逆に最も低い額は、長浜市の1,300円でございます。
 このことから、県内の市と比較いたしますと、本市は総体的に低い額となっております。
 また、国の交付税基準額では、費用弁償を1回当たり7,000円を基準としており、本市の額との乖離では、災害対応で約3.7倍、訓練などでは約4.4倍となっております。
 なお、消防庁の消防団員の処遇などに関する検討会の最終報告では、出動手当を出動に応じた報酬制度とし、災害時では1日7時間45分の稼働を基本として8,000円程度の額を標準額とすることなどが見直し基準として参考に示されております。
 市といたしましても、これらの実態とともに、市の財政状況も踏まえながら、必要な見直しについては検討してまいりたいと考えております。


 次に、消防団活動の市民への広報についてでございます。
 消防団員の皆様が日夜されている防火啓発や有事の際の災害対応、また、消防技能を磨く消防操法訓練大会や方面隊・分団訓練などの活動を、市民の認知度向上のため、これまで以上に広報をしていく必要があると感じており、今後は、様々な媒体を通じ、活躍いただいている状況をできる限りタイムリーに広報などできるように努めてまいります。


 次に、市の広報紙「広報こうか」の一部に「甲賀市消防団コーナー」を常設し、継続的に市民へ広報することについてでございます。
 市の広報紙では、これまでも消防団の新入団員や退団者の紹介、消防行事などを掲載させていただいてきたところでございます。その上で、今回、御提言いただきました定期的な消防団コーナーの常設につきましては、消防団幹部会や広報の担当課とも相談をしながら、来年4月から開始できるよう前向きに取り組んでまいります。


 次に、市の消防団条例では、団員資格として性別はどのように定めているかについてであります。
 消防団条例において、団員資格として性別の定めはされておりません。


 次に、当市の女性消防団員数の現状・実態についてでございます。
 女性消防隊は、消防団条例施行規則に基づき設置されており、平成19年4月1日の発足時は12名の団員でスタートいたしまして、本年4月1日現在では、10名となっております。


 次に、消防団員数の具体的な目標値を定めることについてでございます。
 女性消防隊については、現在も女性ならではの視点を生かした火災予防の各種広報活動、出初め式や消防団行事への参加、住民に対する防災教育、応急手当て指導など積極的にお取組を頂いており、甲賀市消防団組織再編計画においては、さらなる増員を目指すこととしております。
 その上で、具体的な女性消防団員数については、今後予定しております女性消防隊からのヒアリングも踏まえ、目標値が設定できるよう、幹部会や検討委員会でも他市町の状況を確認しながら、例えば、家庭の事情を考慮した休団制度の導入など、事務局といたしましても一緒に考えてまいります。


 次に、当市の女性消防団員の増強を阻害している要因の認識についてでございます。
 女性消防隊の増強の課題といたしましては、活動自体の認知度がまだまだ低いなどがあるとともに、消防活動そのものについて性別にかかわらず能力や技術を生かして幅広く参画できることの周知が十分にできていないことが、主な要因でもあると認識しております。


 次に、甲賀市消防団組織再編計画における女性消防団員増強の具体的施策についてでございます。
 現在は、消防団組織再編計画に女性消防団員増強の具体的施策までは定めておりませんが、市民の女性隊に対する認知度をアップさせていくことが、まずは必要であると考えており、女性消防隊の活動を広報紙やホームページで取り上げるとともに、地元企業の皆様にも御協力を頂きながら入団促進につなげてまいりたいと考えております。
 以上、答弁といたします。

 

-市長-

 消防団の皆様から頂いた多くの貴重な意見・提言についての所見、新しい消防団員勧誘活動も含めたこれからの甲賀市消防団の在り方についてであります。
 今回、方面隊長、分団長、班長、団員、様々な立場の方々から、総務常任委員会を通じ貴重な御意見、また御提言を頂いたことに、まずは感謝を申し上げます。消防団に入団して、現在、感じておられる意見をそれぞれの立場からお聞きをし、改めて消防団の将来に向けての課題を認識をさせていただきました。これらの課題につきましては、真摯に向き合い、今後、丁寧に解決していくよう事務局にも指示を出したところでございます。
 今後、少子・高齢化、被雇用団員の増加、勤務形態の多様化など社会情勢が大きく変化をしていく中、地域においては担い手不足に陥ると消防団組織そのものの存続が危ぶまれることにもなり、このことは全国的にも問題視されております。
 そのような中、地域事情を踏まえ、市役所、地域、消防団が連携をして担い手を充足する仕組みをつくることが大変重要であるとも考えております。
 そのために、本年度は消防団検討委員会による23分団単位でのヒアリングを実施をし、地域の実情等について丁寧に聴き取りを行い、課題を掘り下げ検討を開始をしていく考えであり、地域の方々とともに魅力ある消防団づくりに努めてまいりたいと考えております。
 消防団という組織は、これまで火消しというような役割はもとより、近年多発化する風水害に対応する水防団としての位置づけが、より大きくなってきております。ますます地域における消防防災のリーダーとして、その地域に密着をし、住民の安全を守るという重要な役割を担っていただくこととなってまいります。
 近年は、全国的に社会情勢の変化により、消防団に限らず、福祉分野などについても地域コミュニティ活動の希薄化が担い手不足を招いております。
 本市におきましては、地縁的なつながりは比較的強いものの、なぜその活動が必要なのかという本質的な意義をしっかりと丁寧に説明をし、納得をし、また御理解を頂くことで、地域への愛着を持って役割を果たしていただける組織づくり、また人づくりを推進をし、住みよい甲賀市をつくらなければならないと思います。
 最後に、全国的な人口減少・少子化のさらなる進行や自然災害が頻発化・大規模化する中で、市民皆さんの安全・安心だけではなく、地域の絆を守っていくための持続可能な消防団の在り方や課題について、今回、議会と消防団、そして事務局が議論をさせていただいたことは大変有意義であったと考えております。このテーマを取り上げていただきました総務常任委員会委員の皆様方をはじめ、議員の皆様方には今後も引き続き消防団に対する御理解、また御支援をお願い申し上げます。
 以上、答弁といたします。

 

-議員-

大変、市長からはお褒めの言葉を頂きました。ありがとうございます。
 何点か、ちょっと再質問をさせていただきたいと思います。
 まず1点目ですけれども、甲賀市の消防団組織再編計画では、先ほどの答弁では、現在の団員数を条例で1,120人と決めておりますが、令和10年度までの第1期はそのまま堅持をするという御答弁を頂きました。まだこれから7年間は条例を変えないというようなお考えだそうでございます。その間にもいろいろと検討はされるそうでありますが、私はその間に条例を変えるべきではないかと考えますが、改めて担当部のお考えを伺います。


 2点目は、今回、様々な消防団に対する課題を共有し、検討する新たな場の設置を委員会として御提言を申し上げました。
 この狙いは、消防団幹部会や消防団検討委員会に届かない若い団員さんの声をどのように吸い上げてオープンに議論をするかということであったと思います。若い団員の意見、そしてまた提言を具体的に吸い上げ議論する仕組みは現在どのようになっているのか、そしてまた今後どのようにしようと考えているのか、伺います。


 3点目ですが、先ほど市長の御答弁にも頂きましたが、各団でヒアリングを実施されているということを伺いました。具体的にどのような対象者、そしてまた実施の状況、そして最終的にこのヒアリングで得たものをどのように市のほうとして反映をされていこうとしているのか、どのように持っていこうとされているのか、その辺のことを確認したいと思います。


 四つ目ですが、女性消防隊についていろいろと聞かせていただきました。必要性は広く認識をしていただいているということでありますが、一つちょっと確認したいんですけれども、これ先ほどからは女性消防隊という一つの固まりでお話を頂きましたが、それぞれの分団に現在女性の団員さんはおられないのかどうか、そこら辺のところをですね、これからどうしていこうとされるのか、ひとつ確認をしておきたいと思います。


 それと、さきの答弁にもありましたけれども、つい先日、正式に私がこの消防団の代表質問を通告した2日後の8月18日に、先ほど答弁にもありましたけれども、こういう消防団員の処遇等に関する検討会最終報告書というのが出て参りました。これは担当部におかれても当然中身は確認されていると思いますが、まさにこの報告書はですね、今回、総務常任委員会として取り上げさせていただいた代表質問の内容が本当にたくさん論点として上がってきております。ぎっしり詰まっていると思うんですが、消防庁は団員の処遇改善の一環として、この検討委員会の中間報告を受けて、今年の4月に、先ほど統括監の話にもありましたが、1日当たり8,000円という報酬基準を各自治体に通知された。
 そして、今回のこの報告では、この通知を受けて報酬等の団員の処遇のさらなる改善と、あとポンプ操法についてもしっかり見直そうと、パフォーマンス的なことはやめようというような通知を県に出したということが、この中には書かれております。この通知を受けて、様々な改善のことが、提言がされているわけでありまして、ここではこの通知を受けて報酬額の処遇の改善も、ポンプ操法の見直しも、そして女性の団員の増強についても様々な問題提起が綿々とつづられております。
 そこで改めてお伺いをいたしますが、今後、今回の提起された最終報告書のポイントですね、どういうことが書かれてあるのかということと、これを受けて市はこれからどのように対応しようと考えるのか、担当部にお伺いをします。


 それから、この報告書の中にも明記をされていますが、新しい団員の確保の一環として、オンラインの加入フォームの整備を市が責任を持ってやってくれというような提言が一部出ていたと思います。現在の現況とこれからの考え方について、分かる範囲でお答えいただければありがたいと思います。


 最後に、消防団員を応援する観点からお伺いをしますが、平成18年に導入をされました消防団協力事業所表示制度というのがあるんですが、これに対する当市の取組と現状、そしてまた併せて消防団応援の店、あるいはまた消防応援団の取組、この取組につきましても確認をさせていただきたいと思います。
 以上、再質問といたします。

 

-危機・安全管理統括監-

 現在、条例における団員定数は、平成31年度に1,230人以内から1,120人以内に改正をしたところでございます。そうした状況の中で、甲賀市消防団組織再編計画の第1期では、現在の団員の条例定員を維持継続していくこととしておりますが、期間中であったとしても、地域の実情などを踏まえて、先ほども申し上げましたように、班の再編などを含めて定数について地域の消防力や防災局などへの影響も見極めながら、幹部会や検討委員会で検討され、妥当と判断された場合には条例定数の見直しも含めて考えてまいりたい、このように考えております。


 続きまして、若い団員の意見をどう吸い上げるかということでございます。
 現在では23ある分団ごとにヒアリングを実施しており、各所属でまとめていただいた御意見の真意をお伺いしております。若い団員の意見を吸い上げることで、きめ細かな見直しにつなげていけるというふうに考えており、今後はこの若い団員がオープンな議論をできる仕組みづくりにつきましても、事務局としてまずは幹部会や検討委員会で議論していただけるよう働きかけてまいりたい、このように考えております。


 続きまして、23あるヒアリングを実施する予定でございますが、現在2分団のヒアリングを済ませたところで、ヒアリングにつきましては緊急事態宣言の発令により残念ながら中断をしているところでございます。若い団員の皆様からの御意見をヒアリングシートにより集約をいたしまして、分団長・副分団長・部長・班長の方々へ聴き取りをしているところでございます。
 主な内容といたしましては、組織再編、ポンプ操法訓練への取組方、処遇改善などについてでございます。最終的には、各分団からの意見を取りまとめ消防団検討委員会で議論を尽くした上で、消防団としての総意を固めていただけるよう取り計ってまいりたいと考えております。


 次、4点目の女性消防団でございます。消防団の女性団員でございます。
 現在、甲賀市の消防団につきましては、女性消防隊として、消防団員は女性の消防団の方に活動いただいておりますが、基本団員として女性の方が班に交じって活動いただいているという事例はございません。


 続きまして、8月18日に公表されました消防団員の処遇に関する検討会の報告でございます。まず、報酬などの処遇改善を含め消防団活動に対する社会的理解を深めることなど、様々な意見が指摘がされております。また、消防団の存在意義や役割などが伝わるよう積極的な広報を求め、加入希望者がいつでも入力可能なオンライン加入のフォームを各市町村で整備することや、若年層を念頭に置いたSNSの積極的な活用を促すことが提言とされております。
 また、幅広い住民の入団促進に向けては、例えば、子どもがいる女性消防団員の声を反映し、訓練に子どもを連れてこられるように工夫した事例も紹介されております。
 さらに、平時の消防団の在り方については、消防操法大会を前提とした訓練が負担となっているとの指摘も踏まえ、団員の皆様に過度な負担がかからないよう真に必要な訓練を効率的なスケジュールで練習するなど、地域の実情に応じた創意工夫を図る指摘がなされております。
 本市といたしましても、この最終報告については団員の皆様の日頃の御労苦にお応えしていくことや本人の士気向上、消防団活動に対する地域や家庭などのさらなる御理解や御支援を頂くためにも取り組むべき提起であると受け止めており、事務局の立場からも、まずは処遇改善など前向きに検討してまいりたい、このように考えております。


 続きまして、消防団活動の広報と併せてオンライン加入フォームの整備による入団のハードルを下げることでございますが、このオンライン加入フォームにつきましては、団員の入団促進につながると本市といたしましても考えております。今後、その必要性をしっかり調査し、また活用の仕方も調査し、導入に向けて積極的に検討してまいりたいと考えております。


 また、日本消防協会の平成18年に導入されました消防団応援制度の事業である消防団応援の店でございますが、滋賀県で進められている事業でございまして、消防団員の団員カードを見せることで、割引などその店の優遇サービスが受けられる制度となっております。
 本市内では、65店舗が登録を頂いております。今後は、この消防団員の皆様のメリットもさらにPRして、新入団員の確保につなげられるよう取り組んでまいりたいと思っております。
 さらに、またこの事業所についても多くの市内の事業所に御協力いただけるよう、関係団体を通じて御協力を積極的に求めてまいりたい、このように考えております。
 以上、答弁といたします。

 

 

 

 

下記は今回の議会にて出てきました「平成28年に実施された甲賀市消防団意識調査」に関する過去記事です。

www.kaibaratomoaki.info

 

 

甲賀市消防団の情報はこちら

 

-------------------------
以下のキャンペーンに賛同をお願いします!
「全国消防操法大会の廃止」

キャンペーン · 全国消防操法大会の廃止 · Change.org

-------------------------