海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

岐阜県 岐阜市

岐阜市消防本部では令和3年4月、消防団の活動に関するアンケートを消防団員に実施し、消防団活動が与える負担の軽減について検討がされました。負担が多い伝統的な行事や訓練を見直して、地域防災力の向上や消防団員の確保対策に取り組んでいます。

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 「消防団活動に関するアンケート」に基づく消防団検討委員会結果と、このアンケート結果について質疑された市議会の様子を紹介します。

 

 

▽「消防団活動に関するアンケート」に基づく消防団検討委員会結果


令和3年4月21日付けで実施しました「消防団活動に関するアンケート」により、消防団検討委員会で協議した結果、令和4年度以降の方針・措置は、以下のとおりとなりました。

☆消防団検討委員会開催日:第1回令和3年7月2日・第2回7月21日・第3回8月26日

(負担に感じる割合が多い順)【 内容 → 方針・措置

 

出初式 (1位)
・はしご乗り披露 → 中止
・参加者・規模  →参加人数を限定、規模縮小
・定例表彰    →代表受領
・分列行進    →徒歩分列行進は中止、車両分列行進のみ

 

特別点検 (2位)
・実施時期    →4,5月を避け、11 月ころ実施
・操法訓練
・参加者・規模
・定例表彰
  →現状、各団で内容が異なることから、各団の方針で内容を決定

 

年末夜警 (3位)
・市長激励
  →各団毎に集合し、 出発式(初日のみ) を行い、原則、分団本部での待機はなし
・実施時間 (20時~23時 (4時間程度) 終了時間分団ごとにばらつき)
  →20時~23時 (3時間)
・実施日数 (26日~30日 (5日間)
  →27日~30日 (4日間)

 

操法大会 (4位)
・大会出場
  →輪番制を廃止し、希望分団による出場 ※複数の場合は、選考会を実施

 

定期訓練 (5位)
・訓練のあり方
  →操法大会出場分団は操法、他の分団は実践的訓練 (署との連携訓練)を実施し、訓練内容を分ける。
・実施回数
  →月1回以上とし、必要な訓練を効果的に行う。

 

自治会活動 (6位)
地域の実情に応じて各分団が対応する。

 

定例会議 (7位)
地域の実情に応じて各団、分団が対応する。

 

火災予防運動 (8位)
現行どおりとする。

 

令和4年度以降、方針に基づき措置を実施し、消防団員の負担状況や条例定数に対する充足率を確認しつつ、必要に応じて、 今後も団員確保を目的に消防団の活動を見直していく。

 

 

令和3年第3回(9月)定例会(第2日目)

http://www.city.gifu.gifu.dbsr.jp/index.php/8765250?Template=document&VoiceType=all&DocumentID=3462#one

-議員-

岐阜市の消防団活動についてお伺いいたします。
 市内消防団は地域防災力の要として、また、市民にも身近な存在として、災害や火災が発生した際には、その対応を第一に優先させて、救助や消火、警戒活動に当たる地域防災の中核的存在です。
 本市には、市内を3つに分け、中消防団、南消防団、北消防団の3消防団があり、その傘下に39分団が設置されており、条例定数1,251人の基本団員で災害対応することとしています。
 しかしながら、この定数に対し令和3年9月1日現在は実員が1,143人であり、108人の欠員が生じています。
 全国の消防団員数は、昭和20年に200万人でしたが、平成2年には100万人を割り、現在では80万人を切るのも時間の問題と言われ、実に憂慮すべき危機的状況にあるとお聞きしています。
 一方、災害発生は、令和元年に東日本を襲った台風や令和2年の豪雨、先般7月にも熱海市をはじめとする各地で土砂災害が発生するなど、災害が多発化、甚大化しています。
 このようなことから、国においても消防団員を確保することを目的に消防団員の処遇等に関する検討会が開催され、処遇の在り方のほか、消防団員の加入促進などについて検討が行われました。その結果が令和3年8月18日に報告書として公表され、消防団員の処遇改善、幅広く団員確保策に取り組み、かつ地域防災力の充実強化を図るという内容が示されました
 さらにこの報告書の中における現状の課題認識は、消防団員が減少する要因として、消防団活動の多様化、複雑化、ひいては消防団一人一人への負担が重くなっていると結論づけられ、消防団活動について各自治体で十分検討するべきとされています。
 こうしたことを視野に入れ、本市消防本部では令和3年4月末頃、消防団の活動に関するアンケートを全消防団員に発送し、その後、高い回答率を得て消防団活動が与える負担の軽減について検討がされたと聞いております。
 消防団員が全国的にも減少傾向にあるといった動きに岐阜市がいち早く危機感を持ってその原因究明に当たっていただけたことに感謝いたしますが、一方で、発生する災害が甚大化している現状、こういったことを鑑みますと、これらの対応においては一層高い技術力が求められるようになってきていますし、地域からの期待感も高くなってきているのではないかと認識するところです。


 そこで、消防長に3点お伺いいたします。
 1点目、全消防団員を対象にしたアンケート調査の結果についてどのように受け止めてみえるのかを含めて、主な聞き取り項目について調査結果をお答えください。また、アンケート調査結果により検討された活動内容の主な変更点について、これは団員全てに通知をされたと聞いておりますけれども、改めてお答えを願います。
 2点目、これまで各消防団と各分団が取り組んできた活動についての考え方と今後のあるべき姿をどのように考えてみえるのか。また、消防団員の技術習得についての考え方。
 3点目、今後も地域防災力を確保していくことはとても重要と考えますが、それを担う消防団員の確保対策についてお答えください。

 

 

-消防長-

議員御案内のとおり、消防団員の確保は喫緊の課題であります。日頃から消防団幹部の方々とは会議などで意見交換を行いますが、部長以下団員の皆さんとは直接お話する機会が少ないことから、全消防団員に対するアンケート調査により、消防団活動における負担軽減について幅広く意見を伺い、消防団員確保対策の資料にすることといたしました。
 初めに、御質問の1点目、アンケート調査の主な結果及び変更点についてお答えいたします。
 アンケートは4月23日付で全消防団員1,141人に郵送し、回答期限までに1,053通、率にして92%の回答をいただきました。
 このアンケート結果は、消防団員確保対策を進める上で全消防団員の意見であることを尊重し、課題の整理、検討を行う必要があると受け止めております。
 初めに、消防団の活動について、負担に感じるかとの大枠の設問に対して、826人、78%の消防団員が負担に感じると回答しております。次に、負担に感じる個別の活動についての設問に対しまして、負担に感じる割合の多い順に見ますと、消防出初め式が95%、続いて、特別点検が94%、次に、年末夜警が87%という結果でございました。
 この結果から、消防団の基本となる災害対応に直結する活動については軽減しないことを前提として、消防出初め式、特別点検、年末夜警を最重要課題と位置づけ、団長と副団長で構成される消防団検討委員会を設置し、令和4年度以降の活動について検討を重ねてまいりました。
 まず、消防出初め式の改正点は、長期的な訓練が必要であり、年間を通して消防団員に大きな負担となるはしご乗りの中止でございます。伝統あるはしご乗りを中止しますことは苦渋の選択ではございましたが、消防団幹部の方々には英断をいただきました。
 次に、特別点検の改正点は、例年、入学や就職、人事異動時期の直後に開催をしていたものを、消防団員や家族の生活リズムが落ち着いた11月頃をめどとした開催時期の変更でございます。また、訓練期間が延びたことで、より充実した訓練成果が発表できるものと考えております。
 次に、年末夜警の改正点は、巡回激励方式を夜警開始初日に消防団ごとの集合型出発式を行うこととしました。年末という忙しい時期と重なっておりますことから、正業を持たれた消防団員や御家族の負担軽減に資するものと考えております。

 

 続きまして、御質問の2点目、これまで消防団が取り組んできた活動と今後のあるべき姿及び技術習得についてお答えをいたします。
 現在、消防団員には、火災などの災害に出動する本来の任務のほか、消防出初め式におけるはしご乗り披露や操法大会の出場など、伝統的な訓練にも取り組んでいただいておりますが、近い将来発生が危惧されております大規模地震の際、市内で同時に多数の火災が発生することも予測され、1分団が1つの火災を対応することとなります。そのため、消防団員ははしご乗りや消防操法で培っていただいた技術を基に、さらなる消火技術など習得していただくため、消防署の訓練施設等を使い、署員と連携した訓練を実施し、より実践的な災害対応能力を身につけていただくことで、地域防災力の向上につながるものと考えております。

 

 続きまして、御質問の3点目、今後の消防団員の確保対策についてお答えをいたします。
 今回の消防団活動の見直しによる消防団員の入団状況を注視しますとともに、加入しやすい消防団組織となるよう、今後も消防団員の意見を伺いながら、定期的に検討委員会を設置し、検証を行います
 また、同時に、消防団員の処遇改善に関わる出動手当の引上げや、定員の見直し、組織改革も検討要件に加え、消防団員の確保対策につなげてまいりたいと考えております。

 

 いずれにいたしましても、消防団に対する住民の期待は大きいことから、今後も引き続き消防団の充実強化に努めてまいります。

 

 

-議員-

 消防団活動ですが、今回、1,143人全員にアンケートという形ではありましたけれども、丁寧に聞き取りを行っていただけたこと、また、フィードバックもやっていただいたということで感謝を申し上げます。このことについては、団員さんたちも喜んでみえるのではないかと察するところでございます。
 お聞きした中で、今後の活動内容に今回の団員の意見を重視していただけたことは、団員のモチベーションの向上につながると感じましたけれども、一方で災害や火災発生の際には、団員の安全を最優先の上で、団員が直ちに出動できること、しっかりとまとまって対応に当たるなどの組織力の発揮、さらには団員おのおのにおかれましては、高い使命感と技術力などが求められます。消防長におかれましては、寄せられる地域の期待、これにこれからも応えられる消防団でありますように、スキル面を中心に様々な面から指導をお願いしたいと思います。

 

 

岐阜市消防団の情報はこちら

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