海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

長野県 上伊那郡 中川村

長野県上伊那郡中川村の消防団は令和2年11月、アンケート結果を基に今後の方針を検討し、例年6月に実施している村消防ポンプ操法大会を2021年以降取りやめる方針を示しました。令和2年の村議会でも消防団の組織の在り方、団員の確保対策について継続的に議論されています。

 

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上伊那地域では既に辰野町、箕輪町がポンプ操法大会の開催中止を決定しています。

 

令和2年12月定例会 中川村議会会議録

https://www.vill.nakagawa.nagano.jp/uploaded/attachment/3944.pdf

ー議員ー

それで、これからちょっと違った点で議論をしていきたいと思いますけども、消防団員からは、今様々な意見が出てきております。それらの意見をここでちょっと申し上げたいと思うわけでありますけども、

  • ポンプ操法大会は大会のためのポンプ操法大会になっているのではないか
  • 一部の団員だけではなくポンプ操法の基本を団員全員が学ぶことが重要である
  • 実際の火災現場で役立つ実践的な訓練が必要
  • ポンプ操法大会があることにより団結力が向上する
  • 火を消す消防から火や災害を出さない消防に変わるべきである
  • ポンプ操法大会等訓練の多さの負担感から新入団員の確保ができないのは、近い将来ポンプ操法の人員確保ができない部がある
  • 無線を使う時代となりラッパ隊の訓練に意義を感じない
  • 消防団員の確保が難しくなっている部がありラッパ、救護等の特科の人員見直しが必要
  • 自分の時間が取りづらい
  • 訓練時間が長い
  • 職場での休暇が取りづらい
  • 地域や同世代とのつながりができる
  • 村の防災を担っている誇りがある
  • 災害弱者への支援体制を整えるなど時代や地域に合った活動が必要
  • 大規模災害に備え情報の共有化訓練が必要では
  • 自然災害に備える訓練も必要ではないか
  • 毎月1日 15 日の広報活動の負担が増えており防災無線等の活用ができないか
  • 年末夜警の割当てが2日に1度の割当てで行っている部がある、年末の忙しい時期であり、夜警日数、待機時間等の見直しができない、
  • 団員確保のために退団年齢を延長することはよくない

以上のように消防団員からは様々な意見が出されています。
消防団は独立した組織であり、消防改革は消防団員が自ら改革案を出して行っていくことが私は一番ベターだとは思っておりますけども、その改革案、今言ったような意見を村が実現させることが重要だと考えておるわけであります。
そこで、今申し上げたような消防団員の意見だとか改革案が村長に届いているのか、まずお聞きをしたいというふうに思っております。

 

ー村長ー

今読み上げていただきました意見、これは一端かと思いますけれども、今年の夏に消防団が行いましたアンケート結果の集計結果についても消防委員会の折に報告はされております。意見も、その中ではこういう意見があったということでつけて出されておりますので、今、これをその中から拾い出していただいたのかなあと思いますけれども、同じような声っていうか、もっとたくさんの声があるということは、一応承知はしております。

 

ー議員ー

村長が承知しておるということでありますので、それを踏まえて、またちょっと聞きたいと思いますが、まず、新聞報道によると、中川村消防団は、今年度、団運営の在り方を本格化したということで、団員を対象に活動状況や待遇改善に関するアンケートを取るなど研究を重ねてきた、アンケート結果からは、大会に向けて集中的に取り組む早朝・夜間訓練が団員の大きな負担となり、入団勧誘時にも対象者や家族の理解を得られにくい現状が浮かび上がり、団員確保対策として村消防委員会で例年6月に実施している村消防ポンプ操法大会を 2021 年以降取りやめる方針を示した、消防委員会では、来年度以降の訓練回数について団員が火災に対応できる
技術を備えられるよう引き続き検討することを報告し、団員の待遇改善案や新入団の勧誘方法の変更案なども示したというふうに報道されていました。この新聞報道の内
容について村の考えをお聞きしたいというふうに思っております。
まず、ポンプ操法大会中止に至る経過をお聞きしたいというふうに思っております。

 

ー総務課長ー

まず、ポンプ操法大会を中止するという方針を示しましたのは、村というよりは消防団の皆様のほうでございます。お話にありましたとおり、消防団ではアンケートを基に今後の方針を検討されまして、その結果を9月と 11 月の2回の消防委員会で報告、提案をいただいたところでございます。その中にポンプ操法大会の中止ということが盛り込まれておりました。

議員お話の報道にもありましたが、それ以上の団における細かな議論、検討の経過は村では承知しておりませんが、総じて団員の負担を考慮した結果として団幹部のほうで決定をしたものというふうに理解をしておるところでございます。
ポンプ操法大会は消防団という組織が独自で行っている事業でありまして、上伊那等の大会も行政のものではなくて消防協会等のいわゆる警防組織の大会でございますので、村消防委員会としましては消防団の中止という判断に異論をつけるものではないということとなったところでございます。

ただ、お話にありましたとおり、報道にもありましたとおり、委員会の中では実際の火災において機関操作や放水に支障のないように努力、訓練をしていただきたいということを消防団に伝えるという意見が出されたところでございます。

 

ー議員ー

ちょっと今の答弁の中で、ちょっと疑問に思うことは、確かに、私も先ほど申しましたように、消防団組織は自主組織であり、団長を中心とした組織出るわけでありますけども、前回の議論の中でも申し上げましたように、消防法の中では、やはり村長が、村長が村の消防団の一番のトップであることは変わらないんですよね。

やっぱ、そういう意味で、今言ったような答弁をしちゃうと、私は、確かに消防団改革は消防団が自らやっていくべきだと思いますけども、村もやはり関与していく必要がるかなあと思いますので、そんな点だけは御承知おきを願いたいと思うわけであります。

それで、消防委員会には村長も出席していると思いますので、村長にちょっとその経過をお聞きしたいと思います。

 

ー村長ー

経過については、今、総務課長が申し上げたとおりでありまして、この消防委員会に提案するという形は、合意というか、私の中では、消防団の改革が求められているということを前提に、特に消防ポンプ操法大会の在り方、これから御質問いただく新入団員の確保の方法、こういったことを議題として消防委員会でよく考えていただきたいということは申し上げた上で消防委員会を開いてまいりましたので、今、総務課長が言いましたとおり、細かい全てのことは承知しておりませんが、消防委員会には、そういう形で、諮問というような形で投げかけ、上がってきたのは消防団の団幹部を通じてのアンケートの結果であり、団幹部の決定、考え方であったと、それを議論いただいたということであります。

 

ー議員ー

分かりました。
それで、新聞報道にありました、ポンプ操法大会中止により大会前に集中していた水出し訓練を年間を通じて分散化させるとの方針が示され、来年度以降の訓練回数について、団員が火災に対応できるよう、技術を備えられるよう、引き続き検討すると報道されています。先ほど話がありましたように、これは消防団が考えることかもしれませんけども、消防委員会等で概略の説明があったかと思いますけども、その点について村長等が知っている限りのお話を聞きたいというふうに思っております。

 

ー村長ー

知っている限りのことを申し上げますと、水出し訓練につきましては、どうあるべきかっていうことは、今、消防団の団の中で実際に議論をしているところでありまして、時期の問題、それから分散化するとしたらいつまで、いつ、毎月例えば2回とか土日とかに限ってやっていったら年間やったら 12 回になるなとか、でも寒いときはどうするんだとか、もう凍結するようなときにはどうするような在り方がいいとか、じゃあその間は消防団マニュアル等を全部読み合わせてみんな考えようとか、いろいろな案が出ておることでありまして、まだ結論は出ておりません。そういうことは報告を受けておりますが、今、団のほうでも水出しが一番大事だと、実際に操法大会をやらないとなったら、どういう方法で団員の全てがやっていくかっていうことを真剣に悩んでいる姿は、こちらとしては感じております

 

ー議員ー

村長も消防委員会に出ておりますので、こういう意見がありましたので、消防委員会の中でもぜひとも発言をしてもらって方向づけをしたいと思っておるんですが、団員からは、大会参加者のみの練習でありポンプ操法大会は実践的ではない、初期消火を重視するのであれば団員全員が、団員の全員が機関の使い方やホースの投げ方など必要な技術を身につけるべきである、小型ポンプは水を定期的に通さないと問題が出てくるので半年に1回は訓練を行い、小型ポンプの使い方の確認を行うべきであるというような意見が出ておりましたので、村長、ぜひともこういうことを頭へ入れてもらって、これからの訓練の在り方について提案をしていってもらいたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

 

ー村長ー

おっしゃるとおりだと思っております。団のほうも、そのことを一番重視しておるというふうに認識をしております。

 

ー議員ー

引き続いて、新聞報道にあった団員の待遇改善についてというようなことが新聞報道では報道されておるわけでありますけども、実際に今具体的に取り組もうという点につきましてお聞きをしたいというふうに思っております。

 

ー総務課長ー

消防団としましては、消防団活動がいわゆる子育てですとか家事に費やす時間を奪っているという現状認識をされております

そこで、団として団員の負担軽減を図るという一方で、配偶者やお子さんへのより手厚い配慮を村に求めるという要望がございました。

消防委員会で協議をしていただきました結果、現在、消防団員全員に対して1人につき1万円相当の商品券を毎年交付しておりますが、配偶者やお子さんを持つ団員に対しては上乗せをするよう答申をいただいたところでございます。この件は、来年度予算に計上すべく、上乗せの額等の検討をしておるところでございます。

また、そのほか、毎月あるいは火災予防週間に行われている積載車による広報活動につきましては、これまでは手当の対象外でありましたけれども、今後は、これらの活動に対しても消防団長が指示する訓練、活動であるというふうに位置づけまして、訓練・出動手当を支給する方向で来年度予算に反映していきたいと思います。

 

ー議員ー

待遇改善、少しでも進んでいるということでありますので、これだけでなく、また幅広い視点で待遇改善について御検討をお願いしたいと思うわけであります。

それから、もう一つ、新入団員の勧誘方法の変更ということにつきましても案を検討しておるというような話が新聞報道されておるわけでありますけども、その点についてどんな考えがあるのかお聞きをしたいと思います。

 

ー総務課長ー

これにつきましては妙案が今のところないようでございますが、今までは消防団のいわゆる各部長の段階の裁量で新入団員の勧誘活動を行ってきておりましたけれども、現在のそれぞれの皆さんの勤務状況などを背景にしまして、訓練ですとか実際の火事場等への出動が難しいといった理由から断れるというケースが多々あったということでございます。今後は、部というレベルではなくて、団全体の課題ということとして本部で候補者名簿を作成して多くの場面で団員募集の広報活動を進めて、また地区の総代さん方をはじめ多くの関係者の力をお借りしながら勧誘活動を進めていくという方針とのことでございます。議員各位におかれましても、ぜひ一人でも多くの団員が確保できますよう、御協力をお願い申し上げます。

 

ー議員ー

今の話で行くと、今まで分団ごとでやっておったものを今度は本部が対応していくというような発想かと思いますけども、どうもそれだけで新入団員が増えると私は思っておりません。

やはり根本的なポンプ操法大会を含めた訓練内容について検討していかないとどうしてもだめだなあということで、実は、団員の中では、先ほどポンプ操法大会のこともあったんですが、特科に関する意見がかなり出ているんですよね。

例えば、ちょっと一例を申し上げますと、ラッパ吹奏については、練習時間が多過ぎることで過度な負担が団員にかかっている、そもそもラッパ班の役割はラッパの音で状況を伝達することを目的としているが、どの曲がどのような意味なのか教えられてもいないということであります。

役に立たないと。式典の華やかさを演出ためのラッパ操法になっており、無線があるので火災では役に立たないというようなラッパについては意見が出ております。これ、かなりの意見が出ております。

それから、救護については、救急隊が到着するまでの応急措置の対応が必要であり、救護班のみでなく団員全員が最低限の応急措置を身につける必要があるというような意見が出ておりまして、やはりこれらを含めて、先ほどのポンプ操法大会もそうなんですが、全体的な見直しをしないと新入団の加入ということには結びついていかないと思うんですが、それらを含めて村長はどういうふうにお考えでしょうか。

 

ー村長ー

今のお話のラッパの特科、これについては確かにおっしゃるとおりであります。現実は、火災現場でどういうふうなことが行われているかというと、常備消防が大体鎮圧の確認する、そうしますと、団が引き続き、その地区を担当する団が消火を続けますが、鎮圧、その後、消火、集まれの合図が実はラッパであります。これは、現場の中では、音で分かるという意味では非常に有効であります。後は、次第に団が集まって、具体的にどういうふうにして消化したのか、村長の挨拶、団長の訓示、それから地元の皆様のお礼も含めてということで、そのときにラッパ吹奏をするというふうになっておりまして、慣例として実際にはそこで動いております。

それが現実には要らないではないかっていう声も確かにあるわけでありますので、そのことよりも、特化している皆さんが、やはり一緒に、むしろ水出し、水を出したりすることのほうが重要かもしれません。――じゃなくて、重要でしょう。

それから、救護についてもおっしゃるとおりで、なかなか、救護というのを私もやってみましたけれども、これをやっぱりきちんと身につけていくには何回も訓練をしないとできませんので、団員の誰もがこういうことができるようにしておくっていうことは大事なことです

 

 

議会では中川村消防団に対する多くの議論がされていますので、興味のある方は下記をご確認ください。

 

令和2年6月定例会

https://www.vill.nakagawa.nagano.jp/uploaded/attachment/3936.pdf

→消防団員の団員不足の現状と令和3年度以降消防団員の大幅な減少が見込まれる状況を村民に認識してもらい、団員勧誘を実際に行っている分団長、部長、班長の団員勧誘における厳しい現実を踏まえ、村全体で消防団について考え、村民から愛される消防団に変革しないと消防団活動が困難になってしまうとの考えに基づいて議論をした。

 

 

令和2年9月定例会

https://www.vill.nakagawa.nagano.jp/uploaded/attachment/3940.pdf

→消防団活動における地域コミュニティーの維持や地域の活性化について、昭和 33 年に制定された中川村消防団規則について中川村消防団条例、中川村消防団規則、中川村消防団マニュアル等を体系的に整理する必要性と中川村消防団の定員及び任用等に関する条例を中心に、消防団員の団員資格について村長と議論をした。

 

 

 

中川村消防団の情報はこちら

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