海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

静岡県 御前崎市

御前崎市は令和3年7月に消防団アンケートを実施し、査閲大会(ポンプ車操法、小型ポンプ操法、訓練礼式を競う大会)が90%の割合で負担に感じていると答えがありました。令和3年12月の市議会では、市長から、査閲大会やそれに伴う訓練について、団員の負担軽減を図るために今年度中にはその方針を示していきたいと回答がありました。

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令和3年12月 定例会  12月10日-03号

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/omaezaki/MinuteView.html?council_id=95&schedule_id=3&is_search=true&minute_id=10

■議員

 消防団について市長にお伺いいたします。現在若者世代の人口減少、社会情勢の変化に伴い消防団への入団者の確保が厳しい中、消防団組織再編計画が2025年最終年度に向け進められています。今後消防団も現在の11分団体制の維持が困難となることが想定されていることから、分団としての枠組みは地域方面隊を基本とした8分団体制に再編すると消防団組織再編計画の中で示されております。その中で、昨年度から7分団及び御前崎地区の各分団のあり方検討会が開催され、7分団におきましては、新野、朝比奈、比木地区の分団と統合、御前崎地区、白羽地区は4分団を各地区1分団に統合する方向になったと聞いております。
 しかし、若年層の減少傾向はこの先も予想以上にますます深刻になっていくと考えられます。今年度におきまして市内11分団ある中で2部制を取っている3、4、5、6、11分団は定員27名が確保されていません。また、1部制を取っている7分団も定員20名が確保できていない状況です。また、定員割れしている分団のほとんどが機能別団員の協力を受けていますし、定員に達している中にも機能別団員の協力を受けている分団もあり、全分団の半分以上の8分団にも上ります。基本団員の確保は今後の少子化に伴いますます厳しいものになっていくのは確実です。その中で今後、機能別団員の協力は大変重要なものになっていくと思います。
 地元の比木5分団におきましては、今年度団員確保のため、昨年度で退団予定でした分団長以下6名の団員が基本団員として残ってくれた関係で、15名の基本団員と機能別団員5名で20名を確保してきました。昨年退団予定の団員は、9年間基本団員として務めたことになりました。これは、機能別団員数は各分団の団員数の20%以下とするという基準があったためです。しかし、来年度も5分団におきましては新入団者の確保は非常に困難で、今年度と同様な状況です。
 消防団組織再編計画の策定趣旨にもありますが、社会情勢の変化に伴い被雇用者の占める割合の増加が進み、少子化、人口減少社会への移行等もあり、消防団を取り巻く環境は大きく変化し、団員数の確保が難しく、消防団活動を十分に果たせなくなることが懸念されます。本計画は、地域防災の中核を担う消防団組織が大規模かつ複雑多様化する災害及び少子高齢化の進展による人口減少など、消防団を取り巻く環境の変化にも耐え得る組織の再編に向けて策定するものですとあります。
 このような中、消防団員の意見や考えを把握し、今後の活動や団員の処遇等の資料に役立てることを目的に、消防総務課で在籍3年目以上の団員に対してアンケート調査を行ったと聞いています。このアンケート結果を受け、今後の消防団の在り方についてどのような考えか、市長にお伺いいたします。

 

■市長

 消防団組織再編計画の現状についてでございますが、前回令和3年6月議会でお答えしたとおり、新野地区、朝比奈地区及び比木地区の部制削減に向けての調整や、白羽、御前崎地区の分団統廃合など計画の前倒しを行い取り組んでおります。また、団員アンケート調査につきましては、消防団活動でやりがいのあると思う活動として消火活動や火災を想定した放水訓練などの回答があった一方、負担となっている活動として、約3分の2以上の団員が査閲大会と大会に向けての訓練及び出初め式や入退団式などと回答されました。今後本調査結果を踏まえ、団員の負担となっている査閲大会や訓練などにつきましては、環境の変化に合わせ団員の待遇改善や負担軽減を図るとともに、機能別団員制度におきましても各地域の実情に合わせ柔軟に対応することにより、消防団員の確保につなげてまいりたいと考えております。

 

■議員

 今後、機能別団員の割合は各分団において増加していくのは確実だと思います。そこで、機能別団員制度について伺います。この中の機能別団員の活動に記載されている機能別団員は、入団時に決めた特定の活動、役割及び火災、大規模災害等に参加し、出初め式等の定例行事、基本団員が平等に行う活動には参加しないという記載があります。この文言ですけれども、確実にこれは保障していただけるものでしょうか。機能別団員で参加していただいている皆さんが身分保障とかを大変心配されております。その辺をお伺いいたします。

 

■消防総務課長

 機能別団員の職務につきましては、御前崎市消防団機能別団員の職務等に関する要綱に規定されております。原則としまして、火災、大規模災害における活動と活動に伴う訓練に限り出動することになっております。

 

■議員

 それは確実に保障していただかないと困るわけですけれども、ある団員の方が心配されていました。査閲大会において人が足りないのなら機能別団員に出てもらえばいいではないかという声が出ているようですので、その辺をしっかりと確約していただかないと、機能別団員としてせっかく協力していただける方が今後参加していただけなくなるような状況になってしまうかと思います。その辺をしっかりと踏まえてやっていただきたいと思います。
 続いて、消防総務課長にお伺いします。査閲大会での訓練礼式ですけれども、以前私も議員として大会に参加したときに、すばらしい演技をして、これはいい点数だと思いましたら、順位が上位のほうに入っていませんでした。その辺どういうことなのかと言いましたら、人が足りないから減点されたのだと言われました。この訓練礼式において人数の定数及び減点の割合というのはどのようになっているのか、お伺いいたします。

 

■消防総務課長

 訓練礼式の人数につきましては、静岡県の基準と同様に、指揮者1名、列員16名、計17名編成となっております。欠員が1名出た場合にはマイナス20点という採点方法になっております。

 

■議員

 今のお答えにもありますように、定数に達していないということは、大会に出ても到底上位になれない、そのためにつらい訓練をやるというのは団員に対して負担を強いているのではないかと考えられます。
 それでは、最後になりますが、市長にお伺いいたします。意見が重複するところもあるかと思いますけれども、ご勘弁ください。市内各地域の人口推移を調べてみました。大変古いデータですが、各地区がまだ村の時代、今から70年前と人口の比較をしてみました。人口減少の激しい御前崎、新野、朝比奈、比木地区は、現在より各地区とも1,000人以上の差があります。50年前から比べると、この4地区は1,000人以上人口が減少しています。反面、池新田、高松、佐倉、白羽地区は人口が増えております。このように見ますと、人口の格差というのは同じ市内でありましてもますます今後広がっていくのではないかと思います。
 しかし、各地区において地域防災を考えますと消防団は必要だと思います。市内消防団の半数に及ぶ分団が定員割れしている中、今までどおりの査閲大会の開催には無理があるのではないでしょうか。また、先ほど市長も答弁の中でおっしゃいましたけれども、アンケート結果を見ましても、入団後の感想として、自分の時間が少なくなったが71%、仕事に支障を来すことがあるが56%等の回答がありました。また、負担になっている活動では、やはり査閲大会が90%の割合で負担になっていると感じていると答えがありました。そのほか、入団式及び出初め式を簡素化すべきという回答も66%を超えています各式典や査閲大会に参加することが団員にとって一番の負担になっていることが分かります。負担に感じている活動を今後見直さなければ新入団員の確保もますます厳しいものとなります。市長、先ほど答弁いただいたのですけれども、再度ご答弁をお願いいたします。

 

■市長

 先ほども答弁をさせていただきましたが、議員ご指摘のとおりアンケート調査結果を踏まえまして、査閲大会やそれに伴う訓練について、団員の負担軽減を図るために今年度中にはその方針を示していきたいと考えております。

 

■議員

 最後になりますが、人口減少、産業構造の変化、社会構造の変化による勤め先の負担や核家族化の中で家族の負担も問題だと思います。今までは消防団活動だからといって容認されてきたことが現在では通用しない社会になっていることを認識すべきだと思います。アンケート結果を見ましても、査閲大会が団員に大きな負担をかけ、入団を拒む原因にもなっているのではないでしょうか。消防団活動に協力してくださる基本団員及び機能別団員が活動しやすい環境整備をお願いいたしまして、一般質問を終わります。

 

令和4年2月に令和4年度から団員手当や活動内容を改めることが決まりました。

査閲大会は、ポンプ車操法と小型ポンプ操法のみとし規律訓練は廃止。入退団式は参加者の見直しと時間短縮を図るそうです。

今後も、団員の意見を継続的に聞いて頂き、消防団改革を進めて欲しいと思います。

 

 

 

静岡県御前崎市消防団の情報はこちら

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