海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

岐阜県 関市

岐阜県関市は平成25年に関市消防団再編計画を策定しました。その中では、消防団ヒアリング調査や団員と市民へのアンケート調査を実施し、その結果、操法大会は各種調査を通して最も問題視されている行事であることが分かったと報告しています。

令和2年の市議会では、消防団員の出不足金や協力金について質疑されています。

 

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関市消防団再編計画

http://www.city.seki.lg.jp/cmsfiles/contents/0000005/5763/sekishishouboudansaihenkeikaku.pdf

3 消防団ヒアリング調査結
(2)テーマ別意見


 消防団ヒアリング調査では、統合・再編を中心に、今後の消防団活動に対する貴重なご意見をお聞きすることができました。
 まず、消防団活動の大きな課題として、消防団のあり方が挙げられます。これは、消防団発足当時に比べて現在では、状況が変わってきており、消防団活動は実態にあったものになっているかという疑問があり、今後はどうあるべきかという根本的な問題です。
 具体的には、ヒアリングで必ずと言っていいほど話題に挙げられていた「操法大会」のような行事を重んじるのか、それとも、地域で現場に駆け付けられる消防体制を目指すのか、その二つを両立させるのか等の考え方です。
 消防団のあり方にすべて関連していますが、定員・定年の問題、操法大会等行事のあり方、報酬・待遇など消防団員の生の意見が得られました。

 

 


③行事
現状と課題

  •  ネックに感じているのは、消防団活動でも有事以外のイベント的な操法、パレード等の消防団活動である。(板取)
  •  操法大会に向けての活動に毎年悩んでいる。(板取)
  • 防災パレードは待ち時間は長いがやる時間は少ない。アピールするというがただ歩いているだけなので、アピールできていないのではないか。(武儀)
  • 操法は大会でいい成績を残すべきだとは思うが、それが目的となってしまっており、団員としては非常にやりづらい。操法の意味合いをもう一回見直すべきである。操法があるから消防団員になるのが嫌だという理由が多いと思う。(武儀)
  • 運転講習は人数合わせで同じ人が何回も行くことが不思議である。新人向けの講習なのに、なぜ 2・3 度受けた人を、市がわざわざお金を払って行かせるのか。(本部)
  • 出初式でも操法大会でもいろいろな式典の時に盛大にやらなければいけないという意識と、来賓の人に必要以上にしゃべってもらわないといけない等昔ながらの体制でやっているが、簡略化すべきである。(本部)
  • 操法大会の練習をやるのであれば、月に 1 回川に行き、放水の練習をするなどした方がよい。(本部)
  • 操法大会の審査員や指導員をやるためだけに残っている人はいらない。操法に対する考え方が違いすぎる。火災現場で一番早く消せる方法を教えてもらうのであって、タイムを競うというのは二の次である。(旭ヶ丘)
  • 関の消防団の活性化は市の操法大会ありきである。広見では、1年生に消防の技術を教えることに重点を置いている。練習の時間等は仕事の都合を考えて配慮している。(広見)
  • 防災パレードは、倉知祭と重なる。祭りの日にあえてパレードをやる意味があるのか。(倉知)
  • 辞令交付式は、やる意義はあるが、集合時間が早くて、時間が長い。来賓のあいさつ等を簡略化して時間を短くしてほしい。(倉知)
  • 安全運転講習の時間の集合時間も早い。参加できる人が限られ、同じ人が参加している。新入隊員にもう少し日を選べるようにした方がよい。毎年行ける人が行っているのは何の意味もない。(倉知)
  • 夜警の激励は寒い中を外で 20 分、30 分待たせる。激励になっていない。コンバット着用もやめてほしい。(田原)

 

 


⑪団員育成・技術向上
現状と課題

  • 新入団員には消火活動の時こうすれば早いということを教えてもらえばよい。火事場に必要ない訓練はいらない。(旭ヶ丘)
  • 器具を使う練習を月 1 回設けてその日は必ず出席の日とし、皆が器具を使えるようにすれば、誰が出て行ってもみんなできるようになる。操法をそのように見直すことができないか。(下有知)
  • 操法はコンテストをやるのではなく、例えば2カ月に1回チェックするならよい。
  • 年1回のコンテストで毎年同じ人が選手をやるようだと、その人に聞けばわかるが全体のスキルは上がらない。
  •  “火消し”をやらなきゃと思っていたのに、結局、運動会の練習をしているようなもの。選手にあたらなければ、操法がわからないまま4・5年経ってしまう状況もある。そもそも、実際操法の選手が火事場に来ることはない。
  • 技能のチェック方法の例として、実施の1週間前に消防署員が分団の中からやる人を指名し、チェックする方法はどうだろうか。(富野)

 

 


4 再編における課題、施策の方向
(1)組織のあり方
⑤行事等の活動


 操法大会について、1ヶ月から 1 ヶ月半の間、毎日仕事が終わってから夜遅くまでの練習は、消防団の活動として本当に必要なのかという疑問を多くの団員が持っています。また、団員の家族にお聞きしたアンケートでも、約半数が家族も負担を感じると答えており、特に小さい子どもがいる家庭は、「育児に協力してほしい」、「家庭の時間をもっと増やしてほしい」等切実な意見が多く聞かれました。
 このように操法大会は、各種調査を通して、最も問題視されている行事であることがわかりました。そのため、今後は、「操法大会のあり方」を検討していく必要があると考えられます。
 操法大会の他にも、防災パレード等団員が負担に感じている行事が多く、中には参加する意義の全く感じられないと言われているものもあります。
 今後は、操法大会に加えて、数々の行事の負担を軽減または、無くすことで、消防団活動に対してモチベーションを高く持って活動できるように配慮することが必要となります。

 

 

 

 

近年の関市市議会の中では、消防団員の出不足金と協力金について質疑されています。

 

 関市 令和2年第1回定例会会議録 03月02日-02号

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/seki/SpMinuteView.html?council_id=469&schedule_id=3&minute_id=58&is_search=true

 

-議員-

 消防団の出不足金等の問題ですが、(1)関市消防団の実態は、(2)市の見解と今後の方針はですが、2月5日の岐阜新聞に、県内の一部の消防団が入団しない男性に対し、出不足金を求めている問題について記事が掲載されていました。消防団の存在は言うまでもなく非常に重要で、市民の安全・安心のためになくてはならない存在です。さらに、一昨年の豪雨災害を経験した関市にとりましては、より多くの方が同様に思っておられるのではないかと思っております。しかし、消防団の確保問題は、私が暮らす武芸川町地区でも以前から多かれ少なかれございました。
 私は、消防団員を約40年前に経験しておりますが、当時と消防団に対する考えだけではなく、非常勤・非正規雇用の増加など、若者を取り巻く環境も大きく変わってきていると思います。今回の記事では、消防団員に勧誘される側や勧誘する側の現役団員の方々の自治会への苦労話が載っておりました。それは、勧誘は最もつらい活動、団員を確保しない限り自分が辞められないと書かれておりました。本来、消防団員は地域の役に立ちたいというボランティア精神で成り立っていると思いますが、現実はなかなか難しいことであると思っております。さらに、自治会など消防団員に渡す協力金、寄附金については、非常勤特別職の地方公務員である消防団員の対価として受け取ることに違法性はないかというものです。
 私は、今でも消防団の仲間とのつながりは、楽しい思い出が多いということです。勧誘される側も勧誘する側もつらい思い出になるかと思います。大変それは残念だと思いますが、避けて通れないと思います。さらに、同じ地域に住み続けるならば、地域の付き合いなどコミュニティに影響もしてきます。関市にとりましても、今回のことは他の自治体のことと片づけられないということであります。
 そこで、関市消防団における出不足金と協力金についてお伺いします。また、関市としての見解、そして問題があるならば、今回どのように考えてみえるかお伺いします。

 

-市長-

 消防団の出不足金の問題についてお答えをいたします。
 まず、関市消防団の実態についてお答えをいたします。
 先日、消防団の各分団長に対してアンケートを実施したところ、新聞で報道されたような消防団員が地域住民に対して出不足金を徴収していると回答した分団はございませんでした。ただし、自治会や地域の方々からお金や品物を受け取っているという分団は多数ございました。
 次に、市の見解と今後の方針についてでありますが、自治会や地域の方々からのお金や差し入れなどの品物は、その地域の消防団に対して日頃の地域活動への感謝、年末夜警や消防操法大会の激励といった意味が込められており、過去から自治会などの総意で行われてきているものと考えています。このことは、現時点では直ちに問題で指導の必要があるとは考えておりませんが、今後、県内外の自治体の動向、司法の判断も含め、注視をしてまいりたいと思います。
 なお、いわゆる出不足金については、今後も絶対に消防団員が地域住民に強要することがないよう、分団長会議などで徹底をしてまいります。

 

 

 

 

 

関市消防団の情報はこちら

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