海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

操法大会の弊害 ~消防団員の公務災害~

消防団員等公務災害補償等共済基金(消防基金)は消防団等の公務災害補償や退職報償金の支給事業を行っています。
この消防基金では、消防団員の公務災害を防止するための対策や調査研究、また、それらに関する各地域の取り組み等の紹介などもしています。それらの報告を見れば、いかにポンプ操法大会の為の競技操法訓練が安全管理上問題であるかがわかると思います。

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・公務災害の発生状況と防止対策

http://www.syouboukikin.jp/intro/intro04.html

・消防団員公務災害防止取組事例集

http://www.syouboukikin.jp/intro/koumusaigaiboushitorikumijireisyu.pdf

 

たとえば、平成29年度の公務災害の発生状況を活動態様別に見ると、演習訓練時の公務災害は6割を超えており、うちポンプ操法訓練の動作による負傷は6割を超えると報告しています。

 

 ポンプ操法訓練においての公務災害としては「下肢のけが」が多いですが、重大事例(死亡・療養)も発生しています。(下記は広報で掲載された認定事例)

①連日の訓練により、くも膜下出血を発症し、療養の開始後1年6か月を経過した事案

http://www.syouboukikin.jp/casualties/r0204_example2.pdf

(広報消防基金令和2年4月号より)

②連日の訓練により、くも膜下出血を発症した事案

http://www.syouboukikin.jp/casualties/pdf/r0107_example1.pdf

(広報消防基金令和元年7月号より)

③操法訓練後、軽トラックを運転し帰宅途中、右被殻出血を発症した事案

http://www.syouboukikin.jp/casualties/pdf/h3104_example1.pdf

(広報消防基金平成31年4月号より)

④操法訓練中に劇症型心筋炎を発症した事案

http://www.syouboukikin.jp/casualties/pdf/h3004_example1.pdf

(広報消防基金平成30年4月号より)

⑤小型ポンプ操法訓練で 2 番員として走行後に発症した小脳梗塞

http://www.syouboukikin.jp/casualties/pdf/h3001_example1.pdf

(広報消防基金平成30年1月号より)

 

 

 

 

消防基金ホームページの資料の中には「ポンプ操法訓練の安全対策」というものもあり、そこでは、下記の記載があります。

・スピードや型は重視しないなど、選手の安全確保の点から競技のルールや審査採点基準を見直す必要がある。特に訓練指導者は、運動生理学上の不自然な動きや生理的負担を超えた無理な運動を参加団員に絶対にさせてはならない。

・操法競技が過熱化するあまり、地域代表をかけた練習での選手の肉体的、精神的負担は大きくなっている。団員の負担を軽減し、事故を防止するには、訓練指導者だけでなく、消防団長や市町村長の安全に対する意識を改革することが極めて重要である。

 競技会(操法大会)に向けた消防ポンプ操法訓練の安全対策は未だにできていません。

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http://www.syouboukikin.jp/intro/pdf/reference1.pdf

この資料は平成11年の「消防団員の安全教育と訓練のあり方等に関する調査研究報告書」によるもので、この報告書の詳細は下記ブログに記しています。

 

www.kaibaratomoaki.info

 

 

 

他にも、「消防団員の公務災害防止~食事による高血圧症などの予防のために~」 という通知の中では、操法大会のための訓練途上で公務災害に遭遇される事例は後を絶ちません”と訴えています。

 

しかしながら、過去の「消防団員の健康状態に関するアンケート」(平成9年度と平成26年度に実施)をみると、消防団員の方々の健康管理や健康増進が十分であるとは言えない状況が散見され、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの症状を改善されないでいる傾向もうかがえました。これらは重篤な疾病である脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)や虚血性心疾患(心筋梗塞)を発病させる原因といえるもので、消防団の「使命を果たす」妨げにもなります。火災や水災の災害の際はもとより、このような疾患により、操法大会のための訓練途上で公務災害に遭遇される事例は後を絶ちません。そして何より、これらの重篤な疾病を発病されて不幸にも死に至られれば、ご家族、知人などの悲しみは計り知れません。 (内容抜粋)

 http://www.syouboukikin.jp/intro/e445eb533065e3ea591c84cd3cb22bb4e36ae015.pdf

 

 競技に勝つために、自然の法則を無視した動きを強制させ、過度な肉体的、精神的負担を負わせてしまう操法大会のための訓練ではなく、安全教育と地域防災の為の訓練を行えば、公務災害は劇的に減らすことができると考えます。

 

 

 

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「全国消防操法大会の廃止」
http://chng.it/Kx45cBjj
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