海原友明の消防団改革のすすめ

消防団を取り巻く問題の中でまずすべきことは「操法大会の廃止」です。この大会があることによって苦しんでいる全国各地の実態や私の思いを紹介します。

武田総務大臣への質問状 ~消防操法大会について~

今回は、消防団の操法大会について、武田総務大臣に聞いてみたいことを書きます。

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武田総務大臣においては、令和2年11月13日の記者会見で消防団員確保の為、団員の報酬や出動手当の額の引上げなどの処遇改善が重要とし、あらゆる対策を講じていきたいと考えていると発言されました。そしてそれを受けて現在「消防団員の処遇等に関する検討会」が開催されております。

 

この問題に対して、消防団員やその家族、そして市民からは、「操法大会」が消防団員の多大な負担となっており、ひいては団員充足率の低下の一因であるとの多くの声が出ております。

 

「操法」とは、火災現場で迅速且つ安全に消火活動を行う為の基本的な器具操作・動作の方式を習得するための訓練方法で、「操法大会」はその訓練の成果を披露する場です。多くの消防団員は操法という訓練は必要であるが、大会というイベントにすることに異議を唱えております。

 

その理由は、この大会は速さと正確さを競うほか、規律と呼ばれる動きや、2名以上の動きをそろえて(シンクロして)見せるなど動きの綺麗さが要求されます。
その為、大会で訓練の成果を披露する為には、実際の火災現場で役に立たない動きや技まで習得する必要があります。

 

一つ例を挙げますと、横一列に並んだ選手が指揮者の号令の下、2メートル先の幅5センチの白線に移動します。この際、幅5センチの白線の上に踵が入っていないと減点されます。選手は前を向いて移動しなければならない為、目標の白線を見ながら、そこへ入ることはできません。そしてこの白線への移動を選手全員が同じ動きでシンクロさせます。この練習を繰り返し繰り返し、繰り返し行います。

 

県大会や全国大会の出場を目指す地域では、練習期間が長期間、時には年間を通じて常時行われる場合が多く、幹部やOBなどの圧力により過剰な練習を強要される地域は少なくありません。

 

選手の怪我等も多く、消防団活動の中で発生するほとんどの怪我や事故は、この競技大会に向けた訓練中に発生しています。


このことについては、消防庁が平成11年7月に発行した「消防の動き」341号「消防団員の安全教育と訓練のあり方等に関する報告書」中で、「消防団員個々人としての活動量は、既に限界に来ている。既存の教育訓練や活動内容をこのままにして、 新たな教育訓練を追加しようとしても、消防団員の負担は増すばかりで、到底受け入れられない」、「訓練中の事故の9割以上がポンプ操法訓練によるものであり、これらの事故の背景には、競技会に向けたポンプ操法訓練が大きなウェイトを占めている」、「訓練礼式、規律訓練、競技会目的の消防ポンプ操法訓練などの必要性や効果についても、訓練時間全体のバランスを見直す中で当然整理されることとなる」、「消防団員のおかれた現状を見ると、教育訓練や環境基盤のありようを今、ここで根本から見直し、安全面を充実強化する方向へと転換しなければ、公務災害防止対策は掛け声だけに終わり、いつまでたっても消防団員の死傷事故を防ぐことはできない」等の報告がされておりますが、これ以降この課題解決はされておりません。

 

操法大会は団員の消防技術の向上と士気の高揚を図るとともに、消防活動の充実発展に寄与することを目的としています。しかし操法大会という競技の為の訓練(練習)は、消防技術の習得にはあまりにも効率が悪く、負担感が大きいです。そのため士気の高揚にもつながりません。消防団員としての士気を上げるには、本来の目的である「地域の安心安全を守る」為に真に活動できているかが重要です。

 

消防団員は別の本業で生活の基盤を築いています。時に仕事や家庭を犠牲にして活動しているにも関わらず、この様な非効率で不安全な大会の為の訓練を行わなければならないことに、多くの消防団員は疑問を抱いており、団員減少の一因であると認識しいています。

 

一つ目の質問として、大臣が発言された「あらゆる対策を講じる」の対策の中に、この操法大会は入っていますでしょうか。
少しでも団員減少の要因と考えられるのであれば、それは改善の糸口でありそれについて考える事は、当たり前の事であると思います。

 

ともすれば、「全国消防操法大会」を日本消防協会と共に主催している総務省消防庁は、自らが団員減少の原因を作り出しているとも考えられますが、その点についてのお考えをお聞かせ願います。

 

 

 

そして二つ目の質問ですが、消防庁長官は令和元年12月13日に各市町村に対して消防団に対する地域防災力の充実強化に向けた重点取組事項についての通達を出しています。その中では「定年年齢の引き上げ、撤廃を考えること」とあります。


現在の消防団員の減少、そして定年の撤廃となれば、団員個人の負担が増える事は容易に想像できます。

 

先ほども申し上げましたが、消防団員は別の本業で生活の基盤を築いています。


消防団は、一般の会社の様に「労働基準法」「労働安全衛生法」は適用されません。よって最近の「働き方改革関連法」も適用外です。


そのような環境の消防団員の訓練等の負担は、どれほどが適切であるとお考えでしょうか。定量的な指針をお聞かせ願います。

 

 

 

質問は以上です。

下記に補足資料を載せておきます。

 

 

操法大会廃止を要望する理由 その①

www.kaibaratomoaki.info

 

 

操法大会廃止を要望する理由 その② 

www.kaibaratomoaki.info

 

 

操法大会廃止を要望する理由 その③
www.kaibaratomoaki.info