大分県日田市の令和2年9月定例会では、消防団員の安全管理や公務災害補償について質疑応答がされました。
全国的に消防団の安全管理への対応は十分ではありません。受傷者や殉職者を出さない体制づくりは継続的な検討が必要です。
日田市 令和2年9月定例会(第3回) 09月10日-03号
ー議員ー
続いて、2項目めが、日田市消防団についてです。
消防団は、ほかに本業を持ちながらも非常勤特別職公務員として郷土愛護精神に基づき消防活動を行っています。私も十数年、団員でいたことがありました。そのときによく言われていたのが、地域住民の生命と財産を守るということを常に言われていたと思います。市町村にはこういった消防団の方々がいるということで安心できるのも確かなことです。しかし、そんな中、今年7月には日田市では記録的な豪雨による水害が発生し、消防団の方々も大変な作業だったと思います。幸いなことに消防団のけがなどの報告はありませんでしたが、このような災害のときにもし消防団の公務災害が発生してしまった場合はどうなるのでしょうか。全国統計によると消防団の公務災害発生件数は、ここ10年の平均で約1,300件となっており、その中には毎年数名の殉職者も含まれています。市は、この消防団の公務災害についてどのような対策を取られているのでしょうか。公務災害は公務員並みの補償があるのでしょうか、お尋ねをいたします。
7月の水害で地元の幹部消防団員の方から言われていましたが、天ヶ瀬の温泉街を消防車で避難を呼びかけていたのですが、道路を水が流れ始め、くるぶしぐらいまでに水が来たときに、若い団員が、避難していない人もいるかもしれないのでもう一度巡回してきますと言ったそうです。幹部消防団員が慌てて止めたそうです。若い団員は、若さや正義感もあり、止めても行きそうで大変だったと言っていました。消防団は確かに地域住民の生命と財産を守るという大きな使命がありますが、果たして自分の命までもかけてよいものか、非常時になると若い団員の人は自分が消防団員であるという心意気が出てきます。できるならばこういったときに消防団としてのガイドラインがあれば、ある程度のガイドラインをつくっておけば、そしてそれを団員の方々に浸透させれば命の危険を冒してまでの行動は取らないのではないでしょうか。8月20日の西日本新聞にも取り上げられていましたが、7月の水害で天瀬の杉河内の住民を消防団の方々が天瀬などでの土のう積みなどの作業を終えて疲れて帰った後に、夜中に地区住民を避難誘導し、中には嫌がる高齢者の方を説得して避難をさせたその数分後に土砂崩れが発生して、まさに九死に一生とのことを聞きました。本当に消防団としての働きには頭が下がります。このような団員の方を危険にさらすことはできません。確かに危険を冒してまでという場面はあると思いますが、消防士のように訓練をされているわけでもないし、ましてやレンジャーみたいなことができるわけでもありませんが、先ほども言ったように、現場に遭遇すると若さや正義感が出てしまうことも考えられます。決して消防団から殉職者を出してはいけません。ガイドラインをつくり守ってあげることも必要なことではないでしょうか。ぜひ日田市消防団のガイドラインをつくり、団員の方々が安心して公務に就けることを願います。
ー総務部長ー
私から、9番議員御質問のうち、日田市消防団についてお答えいたします。
まず、公務災害への対策についてでございます。
日田市消防団員が公務上に死亡、負傷などの災害を受けた場合に消防団員、またはその遺族に対し、日田市消防団員等公務災害補償条例に基づき、その災害によって生じた損害を補償することとなっております。この補償の種類につきましては、消防団員、または遺族が受けました損害の補填を目的とします損害補償と、被災団員の円滑な社会復帰の促進及び被災団員やその遺族の援護のための福祉事業に分かれております。
損害補償としましては、損害による必要な療養費用を対象としました療養補償、損害により本来の仕事で得られなくなった費用を対象とします休業補償、このほか、傷病補償年金、障害補償、介護補償、遺族補償、葬祭補償の7つの種類に分かれております。
また、福祉事業の種類につきましては、障がいが残存します方が社会復帰のため必要とします機能訓練や職業訓練などの費用を支給しますリハビリテーション、傷病補償年金の受給者に対し傷病等級に応じ一時金を支給します傷病特別支給金、このほか外科後処置、補装具、アフターケア、休業援護金、在宅介護を行う介護人の派遣、奨学援護金、就労保育援護金、障害特別支援金、遺族特別支援金、障害特別援護金、遺族特別援護金、傷病特別給付金、障害特別給付金、遺族特別給付金、障害差別特別給付金、長期家族介護者援護金の18種類があります。
さらに、日本消防協会が、消防団員が安心して消防・防災活動を行うことができるようにするための消防団員等福祉共済補償制度があり、これには遺族援護金、弔慰金と弔慰救済金、保育援護金、生活援護金と障害見舞金、重度障害見舞金と見舞金、入金見舞金の6種類があります。
そのほか、消防団員の公務上の災害に対しましては、日田市職員公務災害等見舞金支給条例に基づき、公務災害見舞金を支給することとなっております。
これらのように、消防団員の公務災害につきましては、多岐にわたり補償することとしております。
次に、水火災時の消防団としての活動内容ガイドラインにつきましては、近年、様々な火災、自然災害が相次いで発生する中、日田市消防団員の活動範囲や内容は様々でございます。消防団員の活動は、その現場、場面、様々でありますことから、ガイドラインは作成はしておりませんが、年度当初の正副団長会議並びに方面団幹部会議にて活動時の注意事項を確認し、その内容を全ての団員に周知しており、消防団長の指揮の下、火災時の消火活動、水害時の避難誘導の呼びかけ、さらには今回の災害では避難所での安否確認、土のう作成、土砂撤去など、昼夜を問わず様々な活動を行っていただいております。
なお、団員の安全管理のためには、先ほど申し上げました訓練以外にも会議や講習会などを開催し、この内容につきましては、全団員に周知し、安全確保に努めていただいておるところでございます。
私からは以上でございます。
中略
ー議員ー
次、消防団についてお伺いします。
公務災害、ないに越したことないんですけど、先ほどの部長の御答弁では非常にいろんなものがあってすごいなと思いましたけど、一日、二日のけがとかじゃなくて、例えば一か月、二か月の大けがをした場合などに、本人の収入などの部分について問題は何も出てこないんでしょうか。
ー総務部長ー
答弁する前に、申し訳ありません。先ほど登壇で私が答弁したときに、公務災害の福祉事業を幾つか、18種類答弁しましたが、その中で「障害差額特別給付金」が正しい表示ですが、そこを私、「障害差別特別給付金」ということで答弁してしまいました。大変申し訳ありませんが、発言の訂正をお願いいたします。
今御質問の休業補償の関係につきましては、先ほどお話ししました損害補償の中の一つであります休業補償、こちらでいいますと100分の60が一応支給をするということになっております。質問でもありましたとおり、答弁でお話ししましたように、日田市職員公務災害等見舞金支給条例というのもあります。これは私たち職員が公務災害で仮に死亡した場合は、これはもう消防団員も同じ金額ということで適用になるようになっておりますので、そういった補償制度は充実した補償制度は準備されておるといった状況です。
ー議員ー
消防団員は、先ほども言いましたけど、ほかの仕事を持ちながら消防団という役をしているんですけど、言ってみれば個々に収入が違うと思うんですよね。そういう場合は、こう均等ちゅうか、年齢の高い人はやっぱり収入が高いだろうし、高い人は年齢のいった人より少ない収入だろうし、そういう部分というのはどんなふうになるんですか。
ー総務部長ー
先ほどの休業補償を100分の60ということでお答えしましたが、この内容としましては、公務により負傷または疾病にかかり療養のため、勤務その他の業務に従事することができない場合において、給与や業務上の収入を得られないときということになっていますので、今ちょっと手元の資料だけで申し訳ありませんが、そういったその人個々に応じてという形になろうかと思っています。
ー議員ー
先ほどのガイドラインの話なんですけど、いろいろ調べたけど、全国でもガイドラインというのはあんまりないみたいで、細かくいろいろするんではなくて、極端に言ったらもうこれ以上の行動はだめとか団員の頭の中に残る程度でいいんじゃないかと思うんですけど、あとは幹部団員の指示ということでいいと思うんですけど、そういう感じのガイドラインを作るということはできないんでしょうか。
ー総務部長ー
ガイドラインにつきましては、先ほど答弁しましたように、基本的なものは何も作っておりません。ただやっぱりこれまでの団長等の経験年数のある方の経験のもとに、当然まずは消防団員の人命、地域住民の生命・財産を守るということは第一でございますが、その前には、当然消防団員の生命の安全ということが第一になりますので、そういったことを踏まえれば、やっぱり場面場面がそれぞれ異なります。水害また火災、その現場は山火事なりいろんな現場が違いますので、それぞれのガイドライン、標準的なものを逆に作ることによって、誤解を与えるといったことも当然想定されますので、現在は団長のもと指揮命令のもとで活動をしていただいているといった状況です。
それと、度々で申し訳ありませんが、先ほどの補償の関係は、団長・副団長、分団長・副団長等、勤続年数、団員歴等によって若干数字が変わってきております。
ー議員ー
ガイドラインというのは、先ほども登壇してお話しました。温泉街の水が増えてきたときの幹部の団員さんから言われたことなんですけど、私も先ほど言いましたように消防団に入っていました。常に地域住民の生命と財産を守るということを言われ続けて本当に危険なときになると、やっぱり若い人ちゅうのは、自分は消防団だと何とかしなきゃという頭が絶対に働くと思うんです。私に言ってきた幹部の団員の方も止めるのに非常に苦労したということで、こういうときにガイドラインがあったら団員もこれ以上はもうやったらいけないんじゃないかという頭があって、そこまでないんじゃないかという話でございましたので、何らかのそういうことができれば検討していただきたいんですけど。
ー総務部長ー
今、議員さんの御提案につきましては、今後、消防団長会議、消防団の三役会議とか消防団の団長会議等がありますので、そういった中で、また他市の自治体の例、実際ガイドラインというのがなかなかないというのも正直な話ですので、そういったことも踏まえて、再度そういった場で消防団の中で協議をしていただきたいと思っております。
ー議員ー
市長にお伺いしていいですか。
消防団ガイドラインという件ですけど、市長的にはどんなふうな思いがありますか。
ー市長ー
これまでの消防団の活動というものは、非常に歴史の長いものであります。また、消防団とは一つの組織になっておりますので、団長の指揮命令のもと、この中でまだまだ判断がされているということだというふうに思います。
そのガイドラインというものが本当に詳細にわたってなんかの線がきちっと引かれるというのであれば、まだそこまで必要だということであれば、当然取り入れていったんじゃないかなというふうに思っています。
先ほど部長のほうからお話ありましたように、正副団長会議等を含めて役職団員のほうにこの話を投げて、もう一度検討していただくということも必要だろうというふうには思っています。
消防庁は各市町村に「安全管理マニュアル」の作成を推奨しています。
https://internal.fdma.go.jp/hiyarihatto/juyo/H230330_1.pdf
https://internal.fdma.go.jp/hiyarihatto/juyo/H240309.pdf
下記は京丹後市消防団の安全管理マニュアルの一文です
このマニュアルは、消防団員が警防活動等を遂行するにあたって、留意しなければならない安全管理上の主な事項について列挙したものである。すべての消防団員が「自らの命と家族の命を守る」ことを最優先とした安全行動を原則とし、消防団員の安全確保を図ることで、現有する消防力を最大限に発揮させることを目的としたものである。
しかしながら、このマニュアルはあくまでも原則であることを念頭に置き、この基本行動に加え、それぞれの地域で求められる活動、また身を守るための方策について、各方面隊、分団等で話し合い、各自が認識した上で活動することを基本としている。
https://www.city.kyotango.lg.jp/material/files/group/46/safetymanagement.pdf
日田市消防団の情報はこちら
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